2010年 1月 28日 (木)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉114 望月善次 片ギシャリ、だんだら染の

 片ギシャリ、だんだら染の幕あけばお
  花半七、濡れ場ごゝろは
 
  〔現代語訳〕片ギシャリ、段染めの幕が開くと、お花・半七の登場です。その、濡れ場の二人の気持ちはどんなものでしょうか。

  〔評釈〕「明烏春泡雪」十三首〔『アザリア』四号(大正六年十二月十六日)〕の十一首目。「片ギシャリ」は、その意味を明らかにできなかった。以後の宿題としたい。「だんだら染」は「段染め」のことで、「種々の色で横段に染めること。また、その染めたもの」〔『広辞苑』〕。大阪で起きた女性の切腹事件と京都における情死事件を素材としたもの。浄瑠璃・歌舞伎では「京都の刀屋の職人半七と、井筒屋の遊女お花」となる。二人は恋仲となるのだが、半七は叔母から預かった名刀の「信国」をすり替えて金を作る。(人口に膾炙(かいしゃ)して、パロディー版ともいうべき落語「お花半七」も生むが、その経緯は、連載104回でも取り上げた、この十三首の題名ともなっている「明烏」の場合と同様である。)二人は、大坂に駆け落ちをするのだが、叔母はそのために切腹する。「濡れ場」は、「濡れ事(情事またはその仕草)」が行われる場。「濡れ場ごゝろは」の結句はやはり粗いというのが評者の解釈。
(盛岡大学学長)


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