2010年 2月 11日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉296 岩橋淳 カクレンボ・ジャクソン

     
   
     
  発表した作品のどれもが鮮やかな色使いで印象的な作者ですが、本作は、いわばそれを逆手に取ったもの。ふんだんに色を用いながら、あれ? 主人公はどこ?

  このおはなしの主人公・ジャクソン君。年齢不詳ながら、裕福気ままな一人暮らし。何不自由ない、と言っていいのですが、ひとつ、ちょっと気になること。

  街角で、公園で、市場で、図書館で。ジャクソン君の姿は、どうも見つけにくい。

  小柄な体躯はそうなのですが、彼を「目立たなく」させているのは、そのいでたち。

  レンガ塀、花壇の花、たわわのリンゴ、本の背表紙……。ジャクソン君みずからがデザインした衣装は、その行き先に応じて、その場所に溶け込んでしまうようにつくられたもの。これは、かれ自身が、目立つことをとても気にする性格からなのでした。

  そんなジャクソン君に、お城から女王さまの誕生パーティーの招待状が! 人前には出たくない、でもきらびやかなお城へのあこがれは抑えがたく、かれは一計を案じます。それは、ぴかぴかの衣装を身にまとえば、むしろお城では目立たないのではないか?

  実はジャクソン君のこのアイデアは見事裏目に出るのですが、それが王さま女王さまの目にとまり、そして思わぬ方向への展開が待っているのでした。

  シンデレラ・ストーリーのバリエーションのような、カラフル、楽しい一作です。

  【今週の絵本】『カクレンボ・ジャクソン』D・ルーカス/作、なかがわちひろ/訳、偕成社/刊、1365円。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします