2010年 2月 12日 (金)

       

■ 裁判員に従業員が選ばれたら…有給休暇 県内事業所も対応策

 今年から盛岡地裁で裁判員裁判が始まり、県内の事業所は裁判員制度に対応した就業規則を設け、候補者の守秘義務に配慮した体制が求められている。従業員が裁判員に選ばれると公判中はほぼ休業せざるを得ず、職場の業務をカバーする必要が生じる。1月末に開かれた県内初の公判では出頭した裁判員候補から、「当日にならないと日程が分からないのは大変」との声が聞かれた。盛岡地裁は裁判員裁判の回数を重ねて傾向を把握し、裁判員候補が出頭しやすい環境を整える。

 岩手銀行(高橋真裕頭取)は07年10月に裁判員休暇を創設し、従業員が裁判員に選ばれた際に備えた。裁判員裁判の公判に要する日数は有給休暇を認める。嘱託やパートを含む全従業員を対象として、09年5月の裁判員制度施行前から地裁の模擬裁判などに出席できるようにした。

  1月の初公判を含めてこれまで裁判員制度による休暇の取得者はおらず、検察審査会のため2人が取得した。同行人事部の伊藤良樹調査役は「他の産業界と金融機関の動向を見ながら対応した」と話し、県内企業の垂範になるよう早くから取り組んだ。

  盛岡市のスーパーのジョイス(小苅米秀樹社長)は、就業規則に裁判員制度のための有給休暇を設けている。裁判員候補に選ばれ、地裁に出頭する場合は所属長と人事部に申請し、休暇を取得する。同社経営企画室の高橋晃サブマネージャーは、「守秘義務があり、みだりに話すものではないが、所属と人事には報告してもらう。店の人が選ばれたら、その人が抜けたので動かなくなるということがないようワークシェアリングではないが、他の人が代わってやる」と話す。

  県経営者協会(佐藤安紀会長)は裁判員制度施行に備え、盛岡地裁から講師を招いて経営者向けの講演会を開くなど、経済界に制度への協力を啓発してきた。「有給にするか無給にするか、特別休暇にするか年次休暇にするかは企業の判断。国民の義務なので企業としても人を出さざるをえない」と話す。

  大きな事業所は積極的に条件整備しているが、中小零細や個人の事業所では難しいところがある。裁判員制度では、非常に重要な仕事に自分であたる必要がある、裁判員になると自身や周囲に不利益が生じると裁判所が認めた場合は辞退が認められる。単に仕事が忙しいだけでは辞退の理由にならない。

  1月末の初公判のあと元裁判員から「選任の仕方が当日にならないと分からないし、選任されたらあと3日間は拘束されるので、仕事が大変なときはどうするのかと思った」などの声が聞かれた。

  盛岡地裁の伊藤茂勝総務課長は「今は始まったばかりだが、今後は正確でなくてもある程度の傾向が出てくるだろう。地裁によっては初日には専任手続きだけにしたところもある。いずれ裁判所の判断による」と話す。呼び出し人数や公判日程など、今後の検討課題となりそうだ。

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします