2010年 2月 18日 (木)

       

■ 〈風のささやき〉16 重石晃子 年賀状

     
   
     
  今年も新しいカレンダーが飾られ、あっという間に松の内は終わってしまった。
  何しろ、今年は元日から雪が降った。雪の白さは何時も見逃してしまう色彩に、ドキリとするような輝きを与えている。美しい風景に見とれている間に、年賀状だけが山になって積み重なった。年賀状をたくさん頂くのはとてもうれしいし、それを読むのもまた楽しみではあるが、お返事を書く事を考えると、お手上げ状態である。

  若いころの教え子から、感心にも何十年もの間年賀状が来る。たいてい彼女たちは結婚をし、子供が出来、その子供たちはもう社会人になっていたり、驚くことに彼女たちに孫がいたりするのである。

  画家の友人たちや、同級生、あちこちの知人からも、年に一度の便りの年賀状だが、2・3行の行間に、何となくその人の日常が見え隠れする。

  女流画家の最長老、90歳のK先生はニューヨークで個展をして、元気でお帰りになったとのこと。画家は長命だといわれているが、今や100歳の女性も男性も当然のようにたくさんいる。素晴らしい時代である。

  うっかり早死にしようものなら「あれは生活管理が悪かった」と言われそうである。私はもはや早死にの年齢をとっくに越しているから、後はおまけと考えて、少しはマシな絵を描きたいと思うばかりである。

  さて年賀状に話を戻すが、新年のごあいさつはどれも同じ、それは仕方がないとしてもあて名から住所まですべて印刷で出来ていて、一向にうれしくないはがきがたくさんある。すべてパソコンまかせであろう。

  時代はどんどん進む。私がうれしかろうがなかろうが、お構いなしにパソコンは生活の中に入ってくる。ファクス、テレビ、電子レンジ、全自動洗濯機、掃除機などなど、電子機器類は私の子供時代にはなかったが、今はあるのが当たり前である。もはや、手書きは古いのかもしれない。しかし手書きの暖かさ、書き手の息づかいは確実に伝わって来る。

  せめて手書きの年賀状にだけでも、お返事を書こうと思い立った。遅れてしまったお返事を、せっせと手書きした。「今年もよろしくお願い致します」と。
(画家、盛岡市在住)

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