2010年 2月 23日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉90 及川彩子 キッチンも美の空間

     
   
     
  アジアゴ郊外に今の家を購入したのは10年ほど前。玄関がなく、ドアを開けるとすぐ暖炉のある居間、3階の上部には屋根裏部屋、地下にはタベルナと呼ばれる広間、その下にワイン倉庫という典型的なチロルの住まいで、庭にモミの木や白樺の木があります。

  購入当時、すでに築後20年。水回りも古くなったので、この9月、台所の全面改造を決めました。

  この地方のシステムキッチンは、地元の工芸を生かした山小屋風が主流。窓に広がる風景に合わせているのでしょう。機能重視、モノトーンの洗練された最先端の家具は、あまり受け入れられていません。

  近所の友人宅の台所も典型的なチロル風で〔写真〕、台所は作業場ではなく、美的空間の一部と、演出に心掛けているのです。

  そこで、わが家でも家具店の設計士マッシモさんを訪ね、台所の広さに合わせたシステムキッチンのすべてをお任せしました。コンロの下にはイタリア料理に欠かせないオーブン、シンクの上部には食器の乾燥棚、下にごみ箱。冷蔵庫も統一されたデザインの木の箱にすっぽり収まり、それぞれに扉がついて、外側からは何も見えないように工夫されています。

  台所全体に使う木材や色、調理台の大理石もさまざまで、私たちが選んだのは、アイボリーの明るい木目調に、白と黒のまだら模様の大理石。すべての扉の取っ手に、エーデルワイスの手描きの陶器を取り付けたのが唯一のぜいたくで、総額は約70万円でした。

  1週間後にデザインを確認し、新品のシステムキッチンが到着したのは1カ月後。3b四方の壁にぴったり収まり、ささやかながら、また一つ、町の人たちの仲間入りをしたような気になりました。

  そんな矢先、役所から「庭に古い冷蔵庫などの放置は即罰金ですよ」との電話。慌てて業者に引き取ってもらいました。内装以上に、町の美化には気をつけなくてはなりません。


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