2010年 2月 23日 (火)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉123 望月善次 四股を踏め、土は鳴るべし

 四股を踏め、土は鳴るべしひろびろと
  雪の野原は輝きて出づ、
 
  〔現代語訳〕四股を踏みなさい。(そうすれば、その心意気によって)土は(音を立てて)鳴り、この広々とした雪の野原は輝いて出現するに違いありません。

  〔評釈〕「冷? 熱? 愛?」十三首〔『アザリア』第五号(大正七年二月二十日)〕の冒頭歌。嘉内は、この第五号の記事が要因となって退学させられたのだと言われているが(ちなみに評者はその説に疑問を抱いている。)、そうした意味では、いよいよ〈運命の第五号〉に入るわけである。発行日の「大正七年二月二十日」に見るように、「冬」を背景とした作品が続く。「四股(しこ)」は、「醜足(しこあし)」に由来するという説〔『広辞苑』〕もある、ご存じの相撲における準備運動。ここでは、相撲そのものの四股ではなく、一種の気合いを入れるための動作としての四股なのだと見ればよいだろう。作品として表されているところは「四股」↓「土」↓「雪の野原」の順序となるわけだが、作歌の実際としては、まず「広々と輝くいている雪の野原」があり、それをドラマチックに表現するために「四股を踏め」をもって来たというのが評者の解釈。語りかける相手は自身も友人も可能。
(盛岡大学学長)


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