2010年 3月 9日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉250 八木淳一郎 巡る星空

     
  風車と北斗七星(早坂高原)  
 
風車と北斗七星(早坂高原)
 
  日ごとに春めいてきて、あたりが暗くなるころには東の空におおぐま座の北斗七星の姿を見るようになってきました。ところで、もしも地球が太陽の周りをまわることなくいつも同じ所にとどまって、ただ地軸を中心にくるくると回っているだけならば、季節の変化は訪れず、毎晩きまった星や星座だけを見ることになりましょう。

  けれども実際には、朝昼晩を迎えながら太陽の周りを1年かかって回り、四季が巡ってきます。夜には、星空という名の風景がちょうど車窓から見る景色が移り動いていくように日に日に変化していきます。どの星も東の空に顔を出す時刻が一日につき4分ずつ早くなっていき、やがて1カ月もたてば2時間も早く上ってくるようになります。

  こうして12カ月すなわち1年たつと、まる1日分の24時間のずれ、つまりはまた元通りの星空の風景に戻ることになります。

  こうして毎年同じ星空が巡ってくるのですが、これは私たち一人一人の短い生涯、あるいは何世代かの短い年月の間に限ってのこと。もっと長い間には別の要素が加わってきて、少しずつではありますが様相が変わってまいります。

  その一つは、地球の地軸がみそすりの棒のような動きをしていることです。これは2万6千年の周期で1回転しており、すると、地球の地軸の北の方角にある北極星が次第に別の星に変わっていくことになります。

  今から4千年ほど前は、同じこぐま座にあるコカブという名の星が北極星の役目をしていました。天の北の方角が変わればすべての星や星座の方角も変わり、赤道近くや南半球でしか見られなかった南十字星なども盛岡から見えるようになるでしょう。

  さて、さらに星には固有運動という動きがあります。有名なものの一つにおうし座のヒアデスという肉眼でもVの字を横にした形の星団がありますが、猛スピードでオリオン座のべテルギュウスの方向に向かって移動しています。

  太陽の固有運動に合わせて、私たちの地球やほかの惑星、彗星なども一緒にお供をしていかなければなりません。長い歳月の間には星座を構成している星の並びが変わってしまい、星座の形そのものも違ってしまうでしょう。

  そして私たちの銀河系|これは渦巻きの形をした2千億個の星の大集団で、2億5千万年で1回転しており、これを1宇宙年と呼んでいますが、こうした動きもまた星同士の位置関係を変えていくことになります。

  いま現在地球上に存在する人たちの誰もが、このような変化を目で確かめることはできません。もし、人類が遠い未来まで存在し続けることができたならば、今とは違う星空を眺めながら私たち過去の人間にも思いを巡らせてくれることでしょう。
(盛岡天文同好会会員)

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