2010年 3月 21日 (日)

       

■ 〈早池峰の12カ月〉37 丸山暁 エリカ(様)はいかが

     
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  根雪が消えて、数日前に降った雪の中から、鮮やかなピンク色の固まりが踊り出てきた。遠目には大きなピンクのボンボンだが、これは小さな花が寄り集まったエリカです。

  昨年雪が降る前に蕾(つぼみ)を付け、降り積もる雪に埋もれ、根雪の中で蕾を膨らませ花開き、春を待っていた。これから初夏まで、可憐な花を咲かせ続ける、僕の大好きな花です。

  以前晩秋のドイツを旅した時、ライン川沿いの小さな町で、木組みしっくいの童話の絵本のような家並みの窓辺に、ピンクの花の鉢が幾つも並んでいた。それがエリカで、北国向きの花だと分かり、この地に来たとき数本植えた。その後挿し木で徐々に数十本に増やし、今ではわが家の入り口や花壇、畑の縁取りに植えて、わが楽園の主役級の花である。

  さて、エリカの原産地はどこかとインターネットで検索してみると、まずトップに踊りでたエリカは、エリカ様(ご存知の方は御存知、御存じない方は御存じない)、かの「別に」女優の沢尻エリカだった。ちょっと驚きだが、これがネット社会の現実である。

  エリカ様は「パッチギ(在日コリアンの映画)」や「タイヨウのうた(太陽にあたれない少女のドラマ)」に出ていたころは、本当に花のエリカのように可愛らしく気品もあった。

  しかし、あれから5、6年、結婚後は特に「あたしは特別、美人」とやけに高慢ちきになってきたようでいただけない。これ以上はTVのワイドショーで情報を仕入れてください。ついでに言えば、彼女の本名もエリカで、親の願いは花のエリカにあったのだろうが。

  さて、花のエリカはアフリカ、ヨーロッパ原産のツツジ科の低木で、世界に700種ぐらいあるようだ。エリカにも、気候、土壌などわが家に相性がいいものとそうでないものがあるだろう。幸い今あるエリカは相性が良いようですくすくたくましく可憐に育っている。

  人間もしかり、共に生きるものや環境によって、個性を伸ばし大きく育つものもあれば、いじけたり傲慢になるものもある。いずれにしても人間も花も大げさで華美よりも、ちょっと控え目で清楚(せいそ)な方が美しいし好感が持てる。時にはりんとした自己主張は必要だが。

  厭(えん)世家アンブロース・ビアスの『悪魔の辞典』(岩波書店版)によれば「結婚」とは「共同生活体の一つの場合で、1人の主人と1人の主婦と2人の奴隷からなり、それでいて全部あわせて2人にしかならない状態、もしくは境遇」とある。ごもっともである。

  人間は生まれる環境は選べないが、ある程度成長すれば、付き合う仲間や環境、共に生きるものを選ぶことができる。その選択こそが人生かもしれない。エリカ(様)はいかに。

  (丸山暁建築・空間工房、大迫・外川目在住)

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