2010年 3月 23日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉251 八木淳一郎 夫婦(めおと)星

     
   
     
  夜の8時を過ぎたころ、春の星空巡りの目当てであるうしかい座のアルクトウルスとおとめ座のスピカが東の空に顔を出してきます。そして日ごと、これらの星は早い時刻に上がってくるようになり、いよいよ本格的な春の訪れを迎えます。

  アルクトウルスとスピカの2つは春の星空を訪ねるときのいわば道標(みちしるべ)となるものですから、特徴をつかんで覚えておきたいものです。アルクトウルスはクマの番人という意味ですが、和名を麦星といい、スピカの和名である真珠星との2つは夫婦(めおと)星と呼ばれています。

  実はこの2つ、結構位置が離れていて、めおと星の名前のように結び付けて見るには無理があるように思えます。そこで登場するのが多くの人に親しまれている北斗七星です。

  おおぐま座のクマのお尻のあたりと特別仕立ての長いしっぽの部分を受け持つ北斗七星ですが、そのしっぽに相当するのが柄杓(ひしゃく)の柄の部分です。柄を構成する3つの星の並びはゆるいカーブを描いています。このカーブをそのまま伸ばしていきますと、ややオレンジがかった黄色い明るい星にぶつかります。

  それがうしかい座の主星アルクトウルスです。明るさは1等星の2・5倍も明るい0等星。麦を刈り入れる6月、刈り入れが終わった時間にふと見上げると、暗くなり始めた星の真上に輝いている|そうしたことから麦星の名が付けられたと聞きます。

  前回も述べましたように、星には固有運動というものがありますが、アルクトウルスは南南西の方角に結構な速さで移動していてこのままでいきますと西暦2400年ころには満月の半分ほど位置が変わってしまいます。

  アルクトウルスからさらに北斗七星の柄のカーブを伸ばしていきますと、おとめ座の主星スピカに到達します。

  天頂付近を通過するアルクトウルスに対して、スピカはやや低空に位置していて、建物などで遮られがちです。色合いも派手でやぼったいアルクトウルスとは違い、真珠星の名前のごとく色白で控えめで気品のある、まるでよし子さん(それぞれお好きな名前を)のような魅力をたたえているではありませんか。

  明るさはちょうど1等星。私たちからの距離はなんと350光年。ああ、なんと手の届かない遠い存在なのでしょう。とても雲の上どころの話ではありません。こんなにも遠い存在のおとめ座のスピカさんです。

  その麗しい姿を、ため息混じりにうっとりと眺めることに致しましょう。話が乱れてしまいました。
(盛岡天文同好会会員)

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