2010年 3月 25日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉302 岩橋淳 ぜったいがっこうにはいかないからね

     
   
     
  おしゃまな妹と、面倒見のいいお兄ちゃんが繰り広げるシリーズものです。前2作『ぜったい たべないからね』『ぜったい ねないからね』できかん気ぶりを発揮した妹・ローラ。今度は目前に迫った小学校入学を前に、お兄ちゃんをやきもきさせるという訳です。

  「自分はまだ小さい」に始まって、家でやることがあって「時間がない」とのたまう妹に、「100まで数を数えられるようになるんだぜ」「字が書けるようになれば、友達に手紙が出せる」と、学校へ行くことの利点を説く兄・チャーリー。生意気盛り、ローラいちいちの反駁(はんばく)に「いーかげんに・せい!」などとは決して言わず、根気よく諭していく過程は、年長者たるものの、まさに、鑑(とてもマネできません)。

  ありとあらゆる角度から、手を変え品を変えて繰り出す「学校はよいところ」アピールに、ただの天の邪鬼かと思われたローラの心の奥底に、ちょっぴりのぞいたのは「未知の世界への不安」。彼女には、心の中に自分だけのともだちを作って、ともすると閉じこもり気味になってしまう、意外な一面があったのです。「だいじょうぶ、うまくいくよ」と励ますチャーリー。なんて頼もしい、お兄ちゃんぶり!

  ……それでも心配なのは、当然のこと。記念すべき登校初日、チャーリー兄ちゃんは妹の姿を捜します。すると……?

  こどもだって、いろいろある。揺れる心を表現する画面構成の妙も楽しい、一冊です。

  【今週の絵本】『ぜったい がっこうには いかないからね』L・チャイルド/作、木坂涼/訳、フレーベル館/刊、1365円(2003年)。


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