2010年 9月 4日 (土)

       

■ 米粉で乳化機能素材 岩手大学などの研究グループが開発に取り組む

     
  米粉を素材にした乳化剤の研究開発を進める岩手大農学部の三浦靖准教授  
  米粉を素材にした乳化剤の研究開発を進める岩手大農学部の三浦靖准教授  
  塩水港精糖(本社東京都)、石川県農業総合研究センター、岩手大などで組織する研究グループは、従来の乳化剤に代わる、米粉を原料にした食品素材の大量生産技術の開発に取り組んでいる。油脂と水を均一に混合する効果を持つ乳化剤は、大量製造されるパンやかまぼこなど加工食品の品質保持、向上に欠かせない食品添加物。これに代わる安全安心な食品素材が完成すれば大きな需要が見込める。米の消費拡大や安定収入を期待する稲作農家にとっても朗報となる。

 研究グループは、米粉を原料にした乳化機能を持つ食品素材の実用化に向け、その特性の解明や大量製造技術の開発、パン類・水産加工品の大量製造に利用した場合の実用性評価などを3年間で実施する。新たな農林水産政策の推進に結びつく実用技術開発を支援する、農林水産省の提案公募型研究費助成事業に今年度採択され、3年間で約1億円の助成が決まった。

  同グループは前年度までの研究で、精製したトウモロコシでんぷん、植物油、クエン酸の混合体を、加熱水蒸気処理するだけででんぷん粉末に乳化機能を付与でき、でんぷん食材を乳化剤の代わりとして利用できることを明らかにしている。

  米の需要拡大策として、新たな用途開発が求められている「米粉」を原料に、乳化剤に代わる食品素材の低コスト・大量生産方法と食品加工現場での利用技術が確立できれば、稲作農家の経営支援にもつながるとみる。

  グループの試算では米粉を原料にした乳化機能を持つ食材は1`当たり500円程度。現在広く使われている乳化剤(1`当たり700〜3000円)と比較しても競争力があり、商品として十分、採算が取れるという。

  開発した食品素材は、製パン業界で第2位のシェアを持つ敷島製パン(名古屋市)、水産練り製品の加工、販売企業のスギヨ(石川県)で実証試験を実施。菓子・食品新素材技術センター(東京都)が安定性や加工適正を評価する。

  岩手大農学部応用生物化学課程の三浦靖准教授の研究室は、米粉の乳化機能の発現の仕組みの解明を担当。「米の消費拡大を狙い、米粉を小麦粉の代替素材として使用するのは限界がある。採算が取れず多くの農家が泣いている。機能性を十分引き出し、米粉の特性が生かせる用途に使うべき。日本の食生産の将来を見据えた新規技術を開発したい」と意気込む。

  研究総括者の塩水港精糖糖質研究所の三國克彦所長も「従来の乳化剤に代わる米粉由来の素材の製法は調理に近い。化学反応で合成された乳化剤より自然で安全安心なものができれば、多くの人に喜んでもらえるはず」と話す。

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