2010年 9月 7日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉263 八木淳一郎 望遠鏡教室その1

     
  田沢湖高原から見上げた秋の銀河。左側の銀河の下に輝くのはこと座のベガ。(9月5日午前0時ごろ)  
 
田沢湖高原から見上げた秋の銀河。左側の銀河の下に輝くのは
こと座のベガ。(9月5日午前0時ごろ)
 
  毎月1回開催される盛岡市子ども科学館での星を見る会では、プラネタリウムでの星空解説や実際のスターウオッチングを始める前に望遠鏡教室という催しが行われます。

  望遠鏡のある家庭は少なくないでしょうが、ひょっとして大半が買ってはみたものの使い方がよくわからずそのうちおっくうになって物置にしまいっぱなし状態になっているのでは?-そういった憶測で、それならば科学館の星を見る会に持ってきてもらい、そこで望遠鏡の仕組みや使い方を一緒に解き明かして実際に星をみていただきましょう-という企画を立てたところ、毎回2、3家族が望遠鏡をを持ってこられます。

  ところで、よほどのマニアでもない限り、一般に望遠鏡にあまりたくさんのお金をかけたりはしないでしょう。かといって、望遠鏡は本来玩具ではなく光学器械です。値段の制約はあるものの、小さくともできるだけしっかりした作りと性能の良いレンズであることが望まれます。

  操作しにくかったり、やっとの思いで目的の天体をとらえてもよく見えない、などといったことでは興ざめで、押し入れの主になってしまいます。

  近ごろはそうでもないのですが、それでもまだ望遠鏡の性能は倍率であると思っている人が多いようで、この望遠鏡は何倍ですか?との質問が時々寄せられます。

  正しくは、望遠鏡の性能は少しでも大きな口経とそのレンズの材質と光学設計、そして高精度に研摩されているか、さらに光軸というレンズの取り付けの調整がきっちりと成されているかといったことにかかっています。次に望遠鏡を取りつける架台や三脚がグラグラしたりユラユラ揺れることがない堅牢堅固なもので、かつスムーズに動かすことができるものでなくてはなりません。

  さて、倍率というものは目でのぞく側にある接眼レンズを差し替えることで変えることができますが、有効な倍率は対物レンズの口径によって制約されます。

  有効な最高倍率は口径を_で表したものと同じ数値で、例えば口径100_のものでは百倍です。ここでも対物レンズの大きなものが有利であることがわかります。

  有効な一番低い倍率は、口径を目の瞳の直径7_で除した数値、例えば口径100_の望遠鏡の場合は約14倍がその望遠鏡の性能をもっとも発揮させ得る最低倍率です。直径7_は暗闇に慣れて瞳が最も開いたときの数値です。これより低すぎる倍率では光の束が瞳よりも広がってしまい、せっかくの望遠鏡の口径が絞られたのと同じになってしまいます。一方、倍率が高すぎますと、像は大きくなるもののぼやけてしまいます。
(盛岡天文同好会会員)


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