2010年 9月 7日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉104 及川彩子 ゼラニウムの街

     
   
     
  ここ北イタリアのアルプス高原の街アジアゴも、今週いっぱいでバカンスシーズンが終わります。今夏も街の人口は何倍にも膨れ上がり、至る所に置かれた赤やピンク、白のゼラニウムの花が、夏を惜しむように彩っています。

  ゼラニウムは、花つきが良く、夏中咲き続けるので、ベランダや窓辺を飾るのに最適。また雨に弱いゼラニウムは、梅雨のないイタリアの夏の街を飾るにふさわしい花として、イタリア人に親しまれているのです。

  いつごろからの習慣かは定かでありませんが、アジアゴでも市庁舎や教会、目抜き通り、民家の白壁や農家の軒先にも鉢植えが並べられ、まさに夏の主役。その環境美化には脱帽です。

  花のピークを8月に合わせるため、5月になると、良い苗を求めて人々は早々に街外れの園芸場へ出掛けます。週末になると、別荘の人たちも隣近所にならって花の準備。

  この春には、わが家でも30株のゼラニウムの苗を買い、腐葉土や雨よけネットも用意して育てました。1株の値段は100円程。

  ゼラニウムは、1株から握りこぶし大の手毬のような花がこぼれ咲くタイプと、小さな花びらが空中に舞うタイプの2種類。そのどちらも陽気なイタリア人を思わせます。

  最近は、さまざまな色のゼラニウムが出回っていますが、近所との調和を考えてか、伝統的なイタリア色「赤」が主流。それが、統一の美の心地よさを生み出しているのです。

  近所で評判のジョヴァンナおばさんの家もゼラニウム一色〔写真〕。家中のベランダや窓枠30カ所余りは見事な花束のようです。

  「雨が降ると、覆いをかけて回るのが大変だけど、子どものようにかわいいからね」と、嫁いできて50数年、一度も欠かしたことがないのが自慢です。

  花が終わると、どの家でも根こそぎ捨ててしまいますが、それもイタリア人の潔さかもしれません。

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