2010年 9月 9日 (木)

       

■ イコモス調査始まる 平泉世界遺産登録を目指して

     
  毛越寺で浄土庭園を見て回る王力軍氏(中央)  
 
毛越寺で浄土庭園を見て回る王力軍氏(中央)
 
  世界文化遺産登録を目指す「平泉〜仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学遺跡群」に対する国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査が8日、始まった。世界遺産を統括する国連教育科学文化機関(ユネスコ)から諮問を受けたイコモスの調査員が候補物件を訪れ、担当者や専門家から説明を受け質疑を交わした。調査は9日まで実施される。同調査のリポートは、登録を決める際の参考資料とされ、可否を左右する影響力を持つ。登録に向けた国内活動の正念場を迎えている。

  イコモスは、ユネスコの文化遺産部門の諮問機関。遺産推薦物件に関する文献調査や委員による現地調査を実施し、登録すべきか否かの評価、意見を提出する役割を担う。調査リポートは、登録を決める世界遺産委員会の場で用いられ、登録推薦書を除く唯一の専門家による分析書に相当。各国委員が登録可否の判断をする際に必ず参考にする。

  調査は、日本側が1月に提出した登録推薦書の内容と、現地における実態との相違や遺跡などの保存・管理体制について確認するのが主眼だ。

  調査員として来県したのは、中国・イコモス国内委員の王力軍(ワンリジュン)氏。建築史を専門とし、自身も建築士であるという。これまでも委員として各国の候補物件を調査してきた。7日に文化庁職員らと来県し、一関市内のホテルに入った。

  調査初日は、午前中に概要などを確認する全体ミーティングを実施。その後、平泉町の毛越寺と観自在王院跡、金鶏山に足を運んだ。同庁、県教育委員会、町担当者らが同行した。

  毛越寺では、藤里明久執事長や同庁の本中真主任文化財調査官などの説明を受けながら境内を回った。浄土庭園を中心に金堂(円隆寺)跡や常行堂などを巡見。当初、庭園の大泉が池で船に乗る予定だったが、王氏の「もう少し詳しく話を聞きたい」との要望で乗船はキャンセルとなった。王氏は時折、地図を広げながら担当者の説明を聴き、質問していた。

  県教委生涯学習文化課の宮昌隆特命課長(平泉世界遺産)によると、王氏は熱心に専門的な質問を数多くしていたという。「浄土庭園に強い関心を持った様子だった」と話す。

  このほか、王氏は観自在王院跡で牛車の駐車場とされる「車宿(くるまやどり)」跡などを調査。一関市内で開かれた歓迎パーティーにも出席した。

  9日は▽無量光院跡▽柳之御所遺跡▽中尊寺-を巡見。同日午後には岩手を出発する予定だ。調査終了後には、同町の平泉文化遺産センターで関係者による記者会見が開かれる。


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