盛岡タイムス Web News 2010年 10月 22日 (金)

       

■ 〈芸能ばんざい〉26 飯坂真紀 沼宮内七つ踊り(岩手町)

     
   
     
  さわやかな秋晴れの日、岩手町秋まつりに出かけて初日の御輿渡御を見た。沿道にイスを並べてお年寄りが行列を迎え、待ち構えていた住民たちが社人たちの三方に次々におひねりを乗せていく。

  沼宮内七ツ踊り、沼宮内駒踊り、五日市獅子踊りに続いて、赤い顔の猿田彦が歩く。御輿の後を華やかな山車が追う。

  七つ踊りとか七つ舞、七つ物と呼ばれる芸能は、岩手県の沿岸部と内陸部に分布していて岩手町には3団体が伝承されている。うち1団体は活動休止中と聞いて「やはりどこも後継者不足だな」と思ったのだが、この沼宮内七ツ踊りはちょっと違った。総メンバーなんと約100名!

  代表である上路孝志さんが「きょうは平日で参加者が少ないんですが、それでも80名近い人数が3班に分かれて回るんですよ。沼宮内地区全戸を3日間で回り、約1千軒の家で踊ります」と語るのには、ますます呆気(あっけ)にとられてしまった。

  御輿が御旅所に安置された後、各芸能は地域をまわるために散っていった。上路さんにお話を伺いながら、七ツ踊りにくっついて歩いてみた。

  七種類の道具を持って踊る七ツ踊りは、団体によって特色があるが、沼宮内七ツ踊りの場合は、道具は杵、棒、刀、剣、長刀(なぎなた)、扇(=弓と扇)、シャクシ(=杓子と盛りザル)という役に分かれて踊る。小学生から中学生までが踊り手で、お囃子は主に高校生やその上の世代が受け持っている。

  町工場の前で踊る孫をおじいちゃんが見守る光景に思わず笑みがこぼれた。卒業後も芸能を続けている若者がいるのが頼もしい。後継者の心配は当分なさそうだ。

  焼きうどんやホルモンがもっか人気の岩手町。それらが生まれる土台には、こんな祭と芸能が息づく底力があったのだと、改めて知った1日だった。

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  【沼宮内七ツ踊りの今後の予定】11月21日(日)、岩手町郷土芸能発表会・岩手町旧南山形小学校にて。

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