盛岡タイムス Web News 2010年 12月 10日 (金)

       

■ 〈学友たちの手紙〜胡堂の青春育んだ書簡群〉3 八重嶋勲 御大喪につき欠礼致す

 ■4はがき 明治31年1月1日付

宛 紫波郡彦部村大巻 野村長一
発 盛岡市四ツ家町 鈴木通
謹賀新年(棒線で消している)
御大喪中ニ付新年之礼ヲ欠ク
  明治三十一年一月元旦

         盛岡市四ツ家町 鈴木通

  【解説】鈴木通は、長一の一級下。猪川浩、石川啄木と同級。「御大喪中」とは、英照皇太后(孝明天皇の女御、夙子〔あきこ〕)。関白九条尚忠の六女。明治天皇の実母)が、明治30年1月11日に逝去されているので、一旦年賀状を作ったが、その後で1年前のことを思い出して、「謹賀新年」部分を棒線で抹消したものであろう。
 
  ■5半紙 明治31年1月5日付

宛 岩手縣県紫波郡彦部村大字大巻 野村長一君
発 東京市赤坂区氷川町七番地相羽方 長谷川愛男
  粗筆御免
拝啓長々御無音致し御申訳無之平に御免被下度候、偖て例年之通年賀状差上べき筈之處本年は御承知之通御大喪ニ付缺礼可仕べく候間左様御承了被下度候、
貴君は只今は何處に下宿被成哉、又ハ帰宅に候や、疑ヒノ為御無音致し居候間御住所御報信被下度候、
就ては貴君中学校に御通学や如何ニ御座候か御案じ申居候、
小生只今は工手学校へ通学に御座候、御承知被下度、
寒候柄御大切御勉強之程奉祈候、先は御住所御報信次第愚信書仕べく
只今貴書到着致、難有拝見仕候、先以て貴君御壮健御勉強之事と御察し申居候、
猶今后相変らじ(ず)御信文ヲ願ふ、小生只今試験之為多忙に候間二月の休暇ニハ長愚文差上申ベク
先は御免被下度、貴書待上候、
小生当今左の所へ昨年八月移轉致し候、
  赤坂区氷川町七番地 相羽方
先は 草々
戊戌 一月五日午前十二時半認〆

  【解説】長谷川愛男は同郷彦部村定内屋敷(盛岡藩家老2代目中野吉兵衛家臣の住居群)の出身と思われる。長一16歳、岩手県尋常中学校2年生。「御大喪」とは、明治天皇の母、英照皇太后逝去。工手学校とは鉄道・電気などの工事の技術を学ぶ学校のようである。
  (紫波町彦部公民館長)


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