盛岡タイムス Web News 2010年 12月 14日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉270 八木淳一郎 岩手の若手と太陽と

     
  岩手大学植物園の夜。左上にシリウスが輝く  
 
岩手大学植物園の夜。左上にシリウスが輝く
 
  今年の気候は不順で、暑すぎる夏が長く続いた後は台風や暴風雨が全国各地に被害をもたらしています。秋を迎えても紅葉が見られずやきもきし、やがて始まった美しい紅葉の上には雪が積もってしまうなど、季節が混在する始末です。

  過日、子ども科学館のエントランスで太陽を来館者に見せた折のことです。肝心の太陽黒点はといいますと、大変小さいのが(といっても地球位の大きさのものですが)3個ほどと寂しい限りでした。日によってはまったく見あたらない時があって、こんな場合、親子連れのお客さん方に太陽をみせたり説明したりするのは何とも張り合いがなく、1個でもあるとないとでは大違いです。

  ところでその黒点のありがたさは、太陽の解説のためばかりではありません。全地球、全人類にとって実にありがたい存在です。といいますのは、過去の歴史をひもといてみますと、かつて地球上の生き物が飢えに苦しみ人間が寒さに震えたあの小氷河期が、太陽黒点がない状態が長く続いたときに一致しているからです。いつも同じように輝いている太陽ですが、実は11年周期で活動が活発になったり、おとなしくなったりしています。過去の記録からすれば、おととしに一番静まりかえった太陽が再び活発に燃え盛ってきているはずで、今ごろはその印として黒点が多数現れていなければなりません。それなのに、どうしたことかいまだに静まりかえったままなのです。もし、この先も黒点が少ないままでいきますと、果たして地球はまたまた小氷河期に突入、ということになるのでしょうか。万が一そうなれば、農作物への影響は大変なことになり生活は一変します。山に住む動物たちは餌が足りなくて人里に入り込んでくるでしょう。今年はクマが町中に出没するニュースをよく耳にしましたが、それどころではありません。また、ペストなど、病原菌を持った小動物が食料を求めて里に下りてくる-それがどんな悲劇をもたらすかはいうまでもありません。

  人類の存在に一番かかわるもの|それは太陽です。その太陽について学ぶことは極めて大事なことです。太陽の観察には太陽望遠鏡などの特別な観測機器を使うのですが、黒点以外にもさまざまな現象をとらえることができます。そうした設備を通して学都仙台にも負けないよう、盛岡の子どもたちも積極的に燃え盛る太陽の姿を知り、地域社会のことばかりでなく地球や人類全体を考えられるようになることが重要です。そういうことが自然科学教育の第一義であることに盛岡の教育や行政にかかわる人たちは考えを改めるべきでしょう。

  競馬などのギャンブルが大切な様子ですが、本物の自然に触れさせ感動を与えることにお金や心血を注ぎ、明日の盛岡の担い手をはぐくむ|これが盛岡に築城した南部公をはじめ多くの先人たちの恩に報いることであり、真に郷土を愛する心と申せましょう。
(盛岡天文同好会会員)

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