盛岡タイムス Web News 2010年 12月 28日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉112 及川彩子 聖ルチアの木の実

     
   
     
  12月13日は、キリスト教暦で「聖ルチアの日」。1年で最も日の入りが早いのは13日。ヨーロッパでは、光の到来を祝う風習が各地に見られます。

  北イタリアでは、「ロミオとジュリエット」の舞台で知られる古都ヴェローナで、この祭りが盛大に行われました。街の中心にある古代ローマ劇場の周辺に、各地の名産を集めた市場が立ち大にぎわいでした。

  いつのころからか、クリスマスより「聖ルチア」を重要視してきたヴェローナでは、クリスマスに先駆けて、プレゼントをもらう子も少なくありません。

  この日に欠かせないのが、シチリア産の木の実のアーモンド。市場でも、カリッと揚げ、チョコや水あめ、黒砂糖でからめたこげ茶色のアーモンドが山盛りになり、屋台に並びます〔写真〕。それをキロ単位で、買っていく人々。コリコリした歯ざわりと、香ばしさに、つい手が伸びてしまうのです。

  受粉せずに実を結ぶことから、聖母の純潔の象徴とされてきたアーモンド。果物に乏しいこの時期、南イタリア産のナッツ類や、ドライフルーツは伝統的な贈り物。光あふれる地方の産物は、暗い季節の終わりを告げ、心を明るくしてくれるのです

  4世紀に生きた「聖(サンタ)ルチア」も、シチリア生まれ。「ルチア」は、光をもたらす者の意味で、キリスト教迫害で殉教する際、眼をくり抜かれたと伝えられることから、眼の病を治す守護神ともなりました。宗教画では、2つの眼を入れた皿を持つルチア像が描かれています。

  わが家の長女の名もルチア。最も光あふれる6月生まれなので名付けたのですが、実は暗闇の季節にこそふさわしい名だったのです。

  イタリアの「ルチア」という名の女の子にとって、この日は第2の誕生日。今年は、わが家のルチアも、ヴェローナの市場でアーモンド菓子を買い込み、「友達に配る」と学校に持って行きました。

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