盛岡タイムス Web News 2010年 12月 28日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉271 八木淳一郎 岩手の若手と宇宙への関心

     
  ふたご座流星群の本隊が通り過ぎてしまった翌日の晩、隊列からはぐれた落ち星を拾おうと夜空を見上げて待った。だが、1個も現れてはくれなかった。夜露にぬれだしたレンズが最後に映し出したのは、発車のベルが取り外されたしろやまステーションの銀河列車だった(紫波町城山公園)  
 
ふたご座流星群の本隊が通り過ぎてしまった翌日の晩、隊列からはぐれた落ち星を拾おうと夜空を見上げて待った。だが、1個も現れてはくれなかった。夜露にぬれだしたレンズが最後に映し出したのは、発車のベルが取り外されたしろやまステーションの銀河列車だった
(紫波町城山公園)
 
  久しぶりの皆既月食、しかもこれが月出帯食(げっしゅつたいしょく)という、月食が始まったまま月が上ってくるという希有な現象でしたが、残念ながら悪天候のため見ることができませんでした。それでも北海道や九州の一部では赤銅色の月食を観察でき、見事な写真が新聞の一面を飾っていました。

  今年は小惑星イトカワの探査衛星「はやぶさ」が苦難の旅路の果てにふるさと地球へ帰還したニュースが連日のように報じられました。

  しかも新聞もテレビもトップ扱いです。テレビの映像を見た多くの人たちが感動し、涙しました。

  金星の探査衛星あかつきはもう一歩のところで金星を巡る軌道にのることができませんでした。しかし、6年後に再び金星に近づくのでもう一度トライするらしく、きっとそのときも世の中が大いに沸き立つことでしょう。

  こうしたこともきっかけになって、人々の宇宙への関心がまたまた盛り上がってきているようです。

  東京・渋谷の五島プラネタリウムが閉館になって久しいのですが、当時からの渋谷にプラネタリウムをよみがえらせたいとのたくさんの人たちの熱意が実り、ついに今年、新しいプラネタリウム館のオープンとなりました。

  また、羽田空港のターミナルビルの中にもプラネタリウムが新設されるなど、天文ブーム、プラネタリウムブームが再燃した形です。

  ところで、お隣仙台市では2年前、建設費250億円をかけて市民天文台が移転新築されました。仙台市天文台の歴史は古く、すでに昭和30年に市の中心部に設置され市民の天文の啓発・普及に活躍してきました。後にプラネタリウムも併設され、盛岡の子どもたちが修学旅行で訪れた際、そこで生まれて初めてプラネタリウムというものを体験したのでした。

  盛岡市長、国会議員、岩手県知事をなさった工藤巌さんは何としても盛岡の、岩手の子どもたちにも地元にいながらにしてプラネタリウムの感動を味わわせたいとの一念から、子ども科学館のプラネタリウムを昭和58年に実現させたのでした。

  後に工藤さんは病床から、自分が関わった教育や行政に携わっている方々に対し、本物の星の光や天体の姿を見せる天文台があってこそプラネタリウムの真価が発揮される、と相談をもちかけたのでした。

  電話の向こうではどの人も、“検討してみます”とでも返答したのでしょうが、なしのつぶてだったようです。

  きょうもまた宇宙に関するニュースが飛び交っています。教育や行政に携わっている方々がその意味するところを理解できればいいのですが。

  子どもたちに未来のことや人生のことを、一体どんなスタンスでお話されるのでしょう。人は明日の食事に心配がなくなると保身に徹してしまう習性があるので、それがちょっと気掛かりです。
(盛岡天文同好会会員)

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