盛岡タイムス Web News 2011年 3月 8日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉177 及川彩子 寿司ブーム事情

     
   
     

 「食」に関して、かなり保守的なイタリアですが、ここ数年来、人気を集めているのが中華料理店。今では、どんな小さな町にも1、2軒探すことができます。

  どの店もスープ・焼きソバ・チャーハン・点心類など一皿200円ほど。ピザ1枚の値段で、数種類をお腹いっぱい食べられるとあって、若者たちでにぎわっているのです。

  それらの店は、ほとんどが中国人の家族経営。店が繁盛すると、本国から親戚などを呼び寄せるので、中国人の人口は、イタリアでも増加の一方のようです。

  都市部では、寿司ブームに乗り、堂々と「NIPPON料理有り」の看板を掲げる中華店も現れました。その名も「食べ放題!ウォーク(歩く)寿司(すし)」。

  好奇心から、友達と学園都市パドヴァに開店したばかりの店を訪ねると、イタリア人の若い家族連れで店は超満員でした。何種類もの中華料理、肉・魚介類の鉄板焼き、中華菓子、果物、アイスクリーム、そして寿司。2時間制限で一人1500円。

  寿司を握るのは、もちろん中国人の板前さん。ハッピ姿で、カウンターから威勢のいい掛け声が飛び交います。〔写真〕

  イタリア人向けに、のり巻の中身はサラダ風。握り寿司は、サーモン・エビ・マグロだけですが、イタリア人が、器用に箸(はし)を使い、醤油(しょうゆ)にワサビを添え、おいしそうに頬張る姿を見ていると「本当の日本の味」と信じているの?と、複雑な気持ちになるのでした。

  私の住む高原の町アジアゴは、夏は避暑、冬はウインタースポーツでにぎわう別荘地ですが、隣国フランス・ドイツ・スペインなどの料理店やマクドナルドは一軒もありません。

  アジアゴの街には、ピザ店か「トラットリア」と呼ばれる地元料理のアットホームな店ばかり。数年前に開業した中華料理店も数カ月であえなく撤退。それだけに、中国パワー再挑戦の日も、遠くないかもしれません。


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