盛岡タイムス Web News 2011年 3月 18日 (金)

       

■ 心のケアが必要だ 中谷准教授に聞く テレビやラジオを消すことも

     
  「安心、安全が実感できるような情報を伝えて」と語る中谷敬明県立大社会福祉学部准教授  
 
「安心、安全が実感できるような情報を伝えて」と語る中谷敬明県立大社会福祉学部准教授
 
  東日本巨大地震から1週間。激甚災害に直面した被災者の心の痛みへのケアも大きな課題となる。津波被害がなかった内陸部でも、物資不足や余震の不安で眠れぬ夜を過ごす人は少なくない。互いにどんな助け合い、配慮が必要なのか、県臨床心理士会事務局長で県立大社会福祉学部福祉臨床学科准教授の中谷敬明さん(50)に聞いた。

  沿岸部の方はもちろん、盛岡など内陸部の方も日常とは全く異なる経験をしており、被災者と捉えるべき。震災から1週間足らずでは、不安を感じたり、あせったり、眠れなくなったりするのは当たり前、自然なことと思っていい。気持ちはそのままではなく、時間が経つにつれて落ち着いてくる。

  よく眠れる環境、安全な場所で過ごすこと。できるだけ普段通りの生活を送ってほしい。正確で客観的な情報の収集に努めることは大切だが、テレビやラジオを消して、悲惨な光景にさらされ続けることを防ぐことも必要になる。

  特に子どもに対しては、つらい映像を見せ続けることなく、NHKの教育番組を視聴する、絵本の読み聞かせをするといった配慮が求められる。子どもは大人と違い、不安の表し方が違う。過度に騒いだり、落ち着かなくなったりする。不安なのだと理解し、子どもとつきあう時間を十分に取り「大丈夫だ」という思いを伝えて。

  大人でも泣いたり、落ち込んだりするだけでなく、怒りっぽくなったり、落ち着かなくなったりする人も出てくる。周りの人は、その人と雑談をしたり、一緒に買い物をしたり、ご飯を食べたり、「安心感」を伝えてあげてほしい。

  被災者につらい経験を聞き出したりすると、体験がよみがえり、気持ちの回復が遅れる。むしろ、他県からの救援物資の到着や道路の復興など支援の手が確実に伸びていることをきちんと伝えて。安心、安全な日常が続いていくことを実感してもらうこと。

  自分の思い込みで行動するのではなく、相手に必要なことを聞いた上で、望むことに対して応える。例えば、家族の安否を確かめたい人であれば、一緒に情報を探してあげる、インターネットの使い方を教えてあげるといった具体的にできることをする。一緒にそばにいることも有効だ。2、3週間経っても様子が落ち着かないようであれば医師、保健師、臨床心理士といった専門家の相談につないでほしい。県臨床心理士会としても相談支援体制を整えている。

  今は震災から日が浅く、多くの人の気持ちが高揚している。無理し過ぎないこと。できる支援を確実に継続していくことが最も重要だ。「落ち着かない」「眠れない」といった不安な気持ちを互いに打ち明けられる関係を作っておこう。避難所など多くの被災者が集まる場所では、できる範囲で避難者の方にも役割を担ってもらい、自治活動やコミュニティーづくりにつなげていけるといい。

  救援活動は長期化することが予想される。地元消防団、警察官、自衛隊員、医療従事者、行政職員ら被災地で支援に当たっている人のケアにも心を配らなければいけない(談)。

   ◇   ◇

  【中谷敬明】(なかや・たかはる)県立大社会福祉学部福祉臨床学科准教授。県臨床心理士会事務局長、いわて被害者支援センター理事。

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします