盛岡タイムス Web News 2011年 3月 27日 (日)

       

■ 〈津波被災の現地で〉宮古市中心部、浄土ヶ浜

 駅を境に別世界-。宮古市中心部の駅東側は津波に襲われた。店舗や家屋から搬出された物品が沿道を埋め尽くしていた。数日前に水道が復旧し、ヘドロを流す作業ができるようになった。がれきを縫うように給油所に車列ができていた。未復旧の信号もあり警察官が交通整理していた。
     
  「すがた」本店に機械を持ち込み、営業再開へ意欲を見せる菅田室長  
 
「すがた」本店に機械を持ち込み、営業再開へ意欲を見せる
菅田室長
 

  ■希望をつくりたい

  元祖いかせんべい「すがた」(菅田正義代表取締役)も被災。同市黒田町の本店は高さ130aまで津波が押し寄せた。商品もヘドロや油で被害を受けた。

  手焼きせんべいの機械4台中1台を、同じく被災した同市藤原から本店に持ち込んだ。電気系統の確認や火気取り扱いの保健所許可などがあり、営業再開の見通しは立たない。従業員は休職か解雇扱いになっている。

  菅田正徳同社ブランド推進室長(27)は「パソコンがやられ、今月分の請求や顧客リストのデータも失われた」と不安を口にする。

  でも「宮古は観光地。昭和8年の津波に続いて2度の大震災で悪い印象を持たれた。離れる人もいるだろう。それを覆して、まちの希望をつくりたい。店も工場も流されたけど頑張るという会社もある」と意欲を語った。

     
  津波の被害を受けた浄土ケ浜  
 
津波の被害を受けた浄土ケ浜
 
  ■財産は残った

  三陸を代表する景勝地・浄土ケ浜も津波に襲われた。昨年4月29日に改装したばかりのレストハウスは2階まで波をかぶった。

  中村喜代子支配人は「地震当時大型バス1台分の観光客らと関係業者、従業員を避難させた。人的被害がなくてよかった」と話す。

  24日も従業員6人で掃除などの作業に精を出したが「どうすればこんなにぐちゃぐちゃになるのか…」と、下を向いてしまう。

  「生活再建が先決で観光までたどり着くのに、どれくらい時間がかかるか見通しが付かない。それでもわたしたちは頑張る。浄土ケ浜という財産は残った。海水浴客も含め海から離れないでいようと思う」と誓った。

  今も続く余震、無数のがれきとヘリのごう音。海は震災などなかったかのように青く、穏やかに波打っていた。憎らしかった。
  (大崎真士)

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