盛岡タイムス Web News 2011年 3月 28日 (月)

       

■ U字溝で即席かまど、被災地にお湯を ボランティアが回る

     
  大槌町赤浜3丁目に設置されたボイラーかまどを稼働してみる深澤さん(左から2人目)と住民  
 
大槌町赤浜3丁目に設置されたボイラーかまどを稼働してみる深澤さん(左から2人目)と住民
 
  大槌町の避難所などにU字溝と耐火コンクリート製のふた、ドラム缶で造った「たき火ボイラーかまど」を届けて設置するなどの災害救援薪(まき)プロジェクトが、町外の官民協働により展開されている。同町ではライフラインの復旧がなかなか進んでいない。電気や灯油に頼らず、木を燃料とする設備でライフラインの寸断された被災地でお湯や暖を供給しようという取り組みだ。

  ■お風呂に入ってもらいたい

  プロジェクトの発端は花巻市大迫町の深澤光さん(52)=県県南広域振興局遠野農林振興センター林務課長=の呼びかけ。11日の地震発生時、東京行きの東北新幹線の車中にいたため、駅近くの小学校で2泊の避難者となった。「3日間だけだったが避難所生活でこのまま風呂に入れなくなるのかと思った。避難所生活の人はどんなにか風呂に入りたいだろうかと思うと眠れないほど。困っている人が目の前にいて助けを求めている」と、支援を呼びかけた。

  被災地では電気もガスも駄目、灯油も乏しい。でも薪になる廃材はある。原始的だが災害に強い。薪割りストを自認する深澤さんの脳裏に今回のプロジェクトの青写真が浮かんだ。

  所属する岩手・木質バイオマス研究会のメーリングリストで提案をしたところ、県外の企業から薪ボイラーの提供があり、さらに遠野市の建設会社の協力を得るなどでスタートした。同センターがプロジェクトに参加。県建設業協会遠野支部、遠野市の松田建設、花巻市の佐藤築炉工業、盛岡市のオヤマダエンジニアリング、みちのく冷熱らが協力し、ボイラーかまど、車載移動式薪ボイラーの製作、設置に取り組んでいる。

  今後のプロジェクト展開ではボランティアの拡大が必要となり、県外からも申し出が来ている。前線基地となる遠野市などから受け入れの協力を得たいという。

  ■側溝に使うU字溝を活用

  ボイラーかまどは、側溝に使うU字溝を断面積50×50a、長さ200aの大きさで使用。上部のふたをドラム缶や鍋等が置けるよう耐火コンクリートで加工。合わせて煙突、湯わかし用のドラム缶2個で1セットになる。

  第1号は22日、臼沢地区の避難所の一つに設置。26日には赤浜地区へ2基を届けた。

  赤浜3丁目の設置場所は飲料にできる沢水のある救援物資集配所。難を免れた個人宅に被災住民が避難している。屋外の集配所では住宅用薪ストーブとドラム缶で火を起こし、お湯を沸かしたりしている。かまど設置後、ドラム缶に沢水をため、被災場所から運んできた廃材をさっそく燃やした。1時間ほどで風呂にも熱すぎるぐらいに沸いた。

  約150人の住民にとって、これまで沸かされる少量のお湯は食事用にしか回らなかった。地域では数日前に、自衛隊の入浴提供があったものの遠慮した人も多い。被災後、1度も風呂に入っていない人もいる。食器洗いや洗濯もお湯を使える。

  ■いつでもお湯を使える

  集配所の世話をしている住民の古舘一義さん(60)は「これならいつでもお湯が使える。お湯が沸くのを待っている人が多いので、量が取れるので助かる」と話す。灯油にも不自由な中、ペットボトルにお湯を入れ、湯たんぽにしようという声が上がっていた。

  赤浜2丁目も170人の避難者は民家への避難が多いが、集団避難所のワークフォローおおつちに25人が寝泊まりする。プロパンガスで調理はできるが、お湯は運んできた薪ストーブを屋外でたいて沸かしている。赤浜防災会の駒林力(ちから)副会長(66)はボイラーかまどについて「ストーブで沸かせるお湯は少ない。暖も採れるのでありがたい」と感謝していた。

  ■移動式薪ボイラー車も準備

  ボイラーかまどは今後も要望を受け設置していく。同研究会員のトモエテクノ(東京)とアーク(新潟市)から80`h薪ボイラー(要電力)が提供され、県内企業が車載して避難所を回りお湯を供給する「移動式薪ボイラー車」運用に向け急ピッチでシステムを組み立ている。

  ボイラー車では1千〜2千gやそれ以上のお湯供給が可能となり、水槽が用意できれば避難所で風呂やシャワーに入ってもらう。第1弾に吉里吉里小へ今月中に出前を計画している。

  深澤さんは「ライフラインの復旧はいつになるか分からない。電気や灯油が来れば家にいる人が使えるだろうが、自衛隊の入浴支援や施設への送迎支援があっても避難所の人たちは入れる回数も少ないだろう。仮設住宅でも同じかもしれない。移動式薪ボイラー車がその間を埋めることができれば」と話す。

  プロジェクトではボイラーかまどは火を囲んだコミュニケーションの場ともなり、設置後は避難者自ら薪の収集、運搬、薪割り、水の調達や炊き出しをすることで運動不足解消、気分転換などにもつながると期待している。

   ◇  ◇

  プロジェクトのため、移動式薪ボイラー車の運転やサービス提供に携わるボランティアが必要で、募集している。さらにボイラーかまども資材は今、協力企業の無償提供に頼っているが新たな購入が必要となり、ドラム缶を含め資材の提供を募っている。問い合わせは同農林振興センター(電話0198-62-9933、ファクス0198-62-9899)へ。

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