盛岡タイムス Web News 2011年 3月 31日 (木)

       

■ 〈潮風宅配便〉24 草野悟 「復興支援列車」走る

     
   
     
  恐怖の大震災は三陸沿岸のシンボル「三陸鉄道」も破壊しました。鉄橋が崩れ線路が折れ曲がり、甚大な被害をもたらしました。

  3月11日から電気、通信の途絶えた宮古の本社を停車中の列車に移し、そこから不眠不休の被害確認と復旧に取り組みました。社員の中でも家の流失や身内の死亡など悲惨な現実の中、全員で復活を目指したそうです。

  北リアス線の島越駅は、駅舎や民家、線路やホームなどを一切破壊されました。そこで開通可能な、久慈駅と陸中野田駅の3駅間と、宮古駅と田老駅の5駅間に取り組み、3月16日と20日に開通させたのです。

  そのころは被災した住民にガソリンがなく、親族や友人、知人の捜索に徒歩で十数`も歩く苦労がありました。列車ではわずかな距離でも、お年寄りの長距離歩行は大変な苦痛です。

  三陸鉄道はすべて無料の運行です。田老から宮古に向かう列車はマスクをしたお年寄りが大半ですが、「ありがとうございます」と深々と頭を下げて降りて行きます。

  1日3便の最終便には泥にまみれたお婆さんが乗ってきました。声を出せずに深く頭を駅員に下げて乗りこみました。

  大震災から2週間、まだまだ安否不明、消息不明の方が多数います。遺体安置所を回る人たちの憔悴(しょうすい)しきった顔はとても目を合わせることができません。「せめて何か遺留品でも…」とつぶやく若いお母さんの声が聞こえました。ご主人と思われる方がうなずくだけでした。涙さえ枯れてしまったのです。

  地獄以上、無慈悲な自然、なすすべない人の無力さ、心痛が増す毎日ですが、復活にかける人たちも多数おります。三陸鉄道の一部開通でも、復活ののろしです。必ずM9を跳ね返す力があります。あちこちから復活ののろしが上がることを切に望みます。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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