盛岡タイムス Web News 2011年 4月 1日 (金)

       

■ 〈胡堂の青春育んだ書簡群〜学友たちの手紙〉18 八重嶋勲 ほととぎす来たれり表紙は驚くべし

 ■岩動孝久

  33 はがき 明治32年10月21日付
宛 盛岡市四ッ家町ゐ川方 野村長一様
発 あかいし山人より (紫波町赤石 岩動孝久(露子)) 廿一日午後
 
ほととぎす来れり表紙は驚くべし、
菫舟 山一句入撰
  山寺の朽ちし井げたや柳散る
小生 水三句入撰
   水車場をとりまく風の芒かな
   洪水に人かしましき月夜かな
   水車場に隣る小家の砧かな
地方俳句会に杜陵吟社なし、抱琴は 水二句 山一句、シ人は 水三句 山二句に候、 早々

  【解説】岩動孝久、俳号露子は、紫波高等小学校・岩手尋常中学校同期で、もっとも親しく手紙を交わした友人。「ホトトギス」とは、「俳句雑誌。明治三十年(一八九七)正岡子規主宰・柳原極堂編集の下に松山市で発行。翌年東京に移し高浜虚子が編集。俳句の興隆を図り写生文・小説などの発達にも貢献。現在も続刊」(広辞苑)。長一、18歳、中学3年、俳号菫舟。「ホトトギス」に初めて入選。「シ人」は紫人。
 
  34 はがき 明治32年10月21日付

宛 盛岡市四ッ家町六十残り居られたる塾生諸子
発 暁廼家主人 一六□ 露葉生拜(紫波町赤石 岩動孝久(露子))
 
  昨日は失敬ニ候、今朝はいそがしさにまぎれて自分の床も捨て帰り実ニ不抔なる奴とおしかり下され度候、いづれ御礼も可申上候、悲しい哉や吾が休み明日可明後(日)に終る哉、可ひなき事にならんよういざ甘酒に遊ばなん。酒だ酒だ 狂歌、「蝉鳴、ほととぎす啼きつる」△方にあ起れたる後徳大寺か有明の歌いやさ逃希しめしあとにあきれたろ諸君等見たや、あは……

  【解説】猪川塾から早朝に紫波郡赤石村の自宅に帰ってきたのであろう。2人か、3人の相部屋で、自分の床も上げずに帰ってきたということなのか、とにかく誰にもあいさつせずに出てきたもののようである。青年の戯れのはがき。


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