盛岡タイムス Web News 2011年 4月 2日 (土)

       

■ 〈潮風宅配便〉26 草野悟 小袖海岸の皆さん、ごちそうさまでした

     
   
     
  「あや、どこの大学の先生すか」と瓦礫(がれき)を燃やす手伝いをしていたおばあちゃんが聞いてきました。私の風貌から研究にきた先生と間違ったようです。

  「違いますよ、観光施設の状況を調べにきたんです」。県の観光課の担当者と施設状況を調べて種市から南下してきた途中でした。

  「あやー、1年持だねでなくなってしまった。ほれあすこ、海女センターあっだどこ」と指さしてくれました。きれいに跡形もなく残骸もありません。ヘルメットのおじさんが「サッパ舟40艘くらいだべが、全部沈んだ。おっぎい舟はそこさ沈んでる」と。舟はどこにもありません。

  「瓦礫もすごいですね。誰か県とか市の人が手伝いにきてくれてますか」

  「いやー、こごらは被害が小さいがら、おらだちで少しずつ片付けでんのっしゃ」「急な階段や坂が多いから大変だべね」「なんもなんも、動げるし、浜のしと(人)もやられねがっだがら幸せなほうだべ」と笑顔が出ました。

  無残に散らかった流木や倒壊した瓦礫を坂の上まで運び、燃やしています。温かそうですが、見た目とは違い重労働です。

  「せっがくここまで来たんだがら、これ飲みなせ」と缶コーヒーを差し出してくれます。「いやいや、おばあちゃんたちの飲み物もらう訳には…」「ほんなごと言わねでどうぞどうぞ」「じゃあ、いただきます」と言うと、パーッと笑顔が広がりました。焚(たき)火と一緒で本当に温かな小袖海岸のご老人たちでした。頑張ってください。またしばらくしましたら顔を出します。そのときはおいしいケーキでも持っていきます。少しずつ前に進んでいる岩手の力、勇気がでます。こちらこそありがとうございました。
(岩手県中核観光コーディネーター)

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