盛岡タイムス Web News 2011年 4月 5日 (火)

       

■ 〈津波被災の現地から〉大槌リポート 避難所生活は3週間 焦りと不安と

     
  地震と津波、火災による被害を受けた大槌町中心部  
 
地震と津波、火災による被害を受けた大槌町中心部
 
  地震と津波、火災による被害を受けた大槌町では、2日時点で32の避難所に2718人が避難している。震災から3週間あまり、避難所暮らしを続ける人々の声を聞いた。
(佐々木貴大)

 ■避難所に相談窓口開設

  高台にあって被害を免れた同町中央公民館は、避難所のほかに震災対策本部として使用され、福祉相談窓口なども設置されている。「避難所に入ったが、少し認知症の症状が出たようだ」「家がなくなってしまい、施設に入っている家族をどうすればいいだろうか」などの相談が寄せられている。

  炊き出しの列に並ぶ小川裕希江さん(12)は「最近温かい食べ物が出るようになってうれしい。これから中学校に進学するので制服や学用品も必要。必死で逃げたので中履きのまま。外靴がほしい」と話した。

  左官業を営んでいた吉村勝見さん(65)は「家がきれいさっぱり流されてしまった。道具も流れてしまったが、仕事があるのであれば復興に向け頑張りたい」と、自分にできることを求めている。

     
  届けられたボールでサッカーを楽しむ子ども  
 
届けられたボールでサッカーを楽しむ子ども
 

  ■支援物資でサッカーボール届く

  海から離れた大槌高校は津波の被害を免れ、避難所として1千人ほどの被災者を受け入れている。ボランティアも多く訪れ、乳幼児対応などの活動が活発に行われている。

  町内で日本料理店を経営していた千葉勝さん(67)は「海から近いところに店をもう一度出す気にはなれない。浜から離れたところに町ができたら、少しはやる気が起きるかもしれない」と話す。津波の恐怖感は消えない。

  「支援はありがたいが甘えてばかりもいられない。何とか早く自立しなければ」と自らを奮い立たせるように口にした。焦りも生まれているようだ。

  理容ボランティアによるヘアカットを受けた佐々木幹雄さん(63)は「家は残ったが電気がなく、震災後からろうそく生活。何よりも電気がほしい」と一刻も早い復旧を望む。

  この日、子どもの遊び道具として支援物資のサッカーボールが届けられた。大槌北小の高橋和也君(11)は大槌高の職員からテニスコートの鍵を借り、同年代の友人10人ほどとサッカーを楽しんだ。「みんなで遊ぶのは楽しい」と、歓声を上げながらボールを追いかけた。

  ■今後の支援に不安抱く

  がれきの撤去など、復興に向け動き始めている同町。現在大槌小学校校庭で役場の仮庁舎の設営が進められており、対策本部や警察、消防などの組織は完成次第、仮庁舎に移動する。

  仮設住宅もこれから建築が始まり、受け入れについての手続きが始まる。

  中央公民館に避難する越田長一郎さん(67)は「町長が亡くなり、3日くらいほかの町より遅れているという話を聞く」と不安を語る。

  同町出身で現在は仙台在住の男性(37)は「ボランティアも確かに必要だが、この光景を見ると被災した人の心のケアが大切だと感じる」と語る。自身も父親を亡くしたという男性は「これから報道されなくなって、そこで人々に現実が突き刺さる。今以上に外の人間が支援することが大切。支援する側に続ける覚悟が必要になる」と不安を口にした。


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