盛岡タイムス Web News 2011年 4月 6日 (水)

       

■ 〈過ぎ去りし日〜北上山地の写真帳〉48 横澤隆雄 牛競りにて

     
   
     
  牛を飼う農家にとって、1年に1度行われる牛競りは最も大きく大切な行事でした。繁殖牛を飼う農家は、冬から春にかけて生まれた子牛を育てて秋の牛競りに出すことの繰り返しなのですが、牛舎で生まれて親牛と共に放牧された子牛は秋までに見違えるような大きさになって帰って来ます。

  その子牛を売りに出して収入が決まるので、牛を飼う農家にとってはまさに1年の総決算といえる行事でした。

  牛競りは牛を飼う農家ばかりではなく、地域を上げた行事でもありました。たくさんの出店が並んだり、子どもたちがこの日に合わせて写生会を催したりと、村のお祭のような雰囲気がありました。

  牛競りは牛の取引値段に一喜一憂する場所であると共に、みんなが1年の労をねぎらう場所でもあったのです。それぞれが弁当や飲み物を持ち寄り、飲んだり食べたりしながら牛談義に花を咲かせる中で地区ごとに競りが進められて行きました。

  牛を飼う農家にとって、子牛との別れの日は晴れの日でもありました。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします