盛岡タイムス Web News 2011年 4月 6日 (水)

       

■ 〈潮風宅配便〜三陸の津波被災現地から〉29 草野悟 若い人もお年寄りも「岩手の力」

     
   
     
  水道が出てないので、タンクにためた湧き水で、汚れた家財道具を黙々と洗っています。この家の前までが全て流されました。運よく残った山田、大沢の民宿藤丸さんの自宅には、数人の方が非難生活しています。

  藤丸さんも漁師で、当然舟もなく、養殖棚も破壊され、家が残っているものの避難所と変わりません。

  藤田卓二さんという船長さんが、なにやら網を編んでいました。「今ごろはウニの口開けなんで…すくい取る網を気休めに作ってんだけど」と仕事をしていました。おそらく今年は漁に出られることはないかもしれないと覚悟をしています。

  卓二さんの奥さんは明るく陽気な人です。とてもつらい日々の中にあっても、元気に避難してきた人たちを受け入れ働いています。

  おばあちゃんは、孫たちに物の大切さを朴訥(ぼくとつ)な口調で教え、孫たちはうなずきながら手を休めません。「まだ使えるよ」と時々優しいまなざしで話します。外はとても寒く、とはいえ家の中も暖房節約で同じです。

  この家の上に大沢小学校の避難所があります。家を流された人たちが大勢避難していますので、流されなかった家の人たちは気を遣っていますが、避難所の人たちは、同じ苦労を分かっていますので、毎日物資を届けてくれるそうです。

  素晴らしい地域の和があります。きっと一致団結して再興に向けて動き出すと信じています。ここにも一歩ずつ前に進む力が残っています。「岩手の力」なんですね。卓二船長のウニ漁の夢がかないますよう。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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