盛岡タイムス Web News 2011年 4月 8日 (金)

       

■ 〈東日本大震災津波〉ボランティア、岩手の受け入れは 山本准教授に聞く

     
  災害VCの運営支援に当たる県立大社会福祉学部の山本克彦准教授  
 
災害VCの運営支援に当たる県立大社会福祉学部の山本克彦准教授
 
  県内の災害ボランティアセンター(VC)の運営を支援している県立大社会福祉学部福祉臨床学科の山本克彦准教授。企業・社会福祉協議会・NPO・共同募金会が協働するネットワーク組織「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議」の一員でもあり、被災者のニーズ把握やボランティアのコーディネートに汗を流す。一部で災害ボランティアの受け入れが遅いとの声もあるが、その現状、支援に向かう場合の心得について聞いた。(馬場恵)

  今回の災害は阪神大震災と比較しても広範囲で、被災の規模も大きく、慎重な準備、時間を要している。被災地は比較的、状況が安定している場所もあるが、ライフラインが復旧していなかったり、食料が十分でなかったり、危険なところもある。現在は食料、宿泊など自己完結できるボランティア団体を中心に受け入れているが、県外からの個人ボランティアも準備が整い次第受け入れを開始したい。

  ボランティアは「初めに現場のニーズありき」ということを分かってほしい。例えば「今、東京を出発する。焼きそば700食の炊き出しをしたい」という団体もあったが、直前の申し出で活動場所をコーディネートするのは実際には難しい。相談なく炊き出しを行えば、あらかじめ被災者のために準備してあった大量の食事が無駄になることもあり得る。事前に災害VCなどに相談してほしい。

  十分な用意をして被災地に入ったとしても、思ったような活動ができない場合もある。ニーズがなければ帰るというのも大事な判断。押し付けではいけない。

  個人的に何かボランティアをしたいという場合は、実際に現地で活動している団体と手を結んでみるといい。そのほうが情報も入りやすく、具体的な行動の起こし方も見えてくる。

  東北の人は我慢したり、遠慮したりすることが多い。本当は困っていても「足りています」とか「大丈夫です」と答えてしまいがち。表面的なやり取りだけで足りている、感謝されたと勘違いしないこと。地域性を踏まえて、相手の状況をよく見ながら、ボランティアも丁寧に対応してほしい。遠隔地から支援に入る場合には、内陸部から沿岸部への移動だけで2時間以上要する岩手の距離感を心得ておくことも重要だ。

  悩ましいところだが、現状を見ると、大量のボランティアが押し寄せて多少混乱しても、人手が足りないよりはましという考えもある。ボランティアは「時間をかけたベスト」より「タイミングを逃さないベター」のほうがいい。その意味でもボランティア受け入れのテンポは早めていきたい。

  避難所ではコミュニティーづくりが課題だ。学校再開などに向け、小規模の避難所をまとめて大規模化する動きがあるが、目の行き届く範囲の人数で人と人との関係を保つ配慮が求められる。

  大きな避難所は一つのまちの機能を果たすようになってきている。ただ、そこに生活する避難者自身がまちを動かす立場になっていないところもある。人の役に立ち「ありがとう」と言葉を掛けられることは避難者自身にとっても力になる。一人ひとりが存在感を持てるよう炊事、掃除、物資仕分けなど仕事の選択肢を用意し、避難所運営に参加してもらう工夫も考えられる。

  子どもたちも、つらい経験をした上に、周りの大人がピリピリした状態の中で過ごしていて、心のケアが求められる。ユニセフと協働し、避難所などで学生ボランティアらが継続的に子どもを見守りながら遊びの場を提供する活動も展開していきたい。

  ボランティアの力が期待されるのは、まさにこれから。学生やNPOなど柔軟な力を生かしていくことがカギになる(談)。


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