盛岡タイムス Web News 2011年 4月 10日 (日)

       

■ 〈不屈の意志〉長岡秀征盛岡工業クラブ会長に聞く 人口流出を防ぐ施策が必要

     
  震災が県内製造業に与えた影響を語る長岡会長  
 
震災が県内製造業に与えた影響を語る長岡会長
 
  盛岡工業クラブの長岡秀征会長(盛菱社長)に、東日本大震災津波が県内の製造業に与えた影響について聞いた。設備の被災に加えて、燃料不足によって生じた生産、物流の停滞による生産活動の停滞を憂慮する。このため、物流が復活するまでのここ数カ月間、とりわけ中小企業に対して行政と金融機関による協力が必要だという。今回の震災が県人口の流出を加速させないような施策が国、県に求められているとして、対応を促す。
(鎌田大介)

  -県内製造業への影響は。

  長岡 物が入ってこないので停滞している。加工するにしても重油が入ってこないなど、基本的に設備はやられていなくても、物流システムが回復できていない。あるいは製品があるのに行けないという現状がある。

  重油を在庫に取っているところはなく、足りなくなったら入れるところがあった。部品が入らなければ加工できない。港湾が使えなければ沿岸部から紙や部品が内陸に入ってこない。高速道は動き、システムは良くなってきているが、まだフル操業に至っていない。顧客筋が壊滅的にやられているところがあるし、仮発注をいったん保留、延期にしてほしいというところがあるなどまだ先が見えない。

  盛岡工業クラブには沿岸に営業所を持っていて流された所がある。復興に向けて安定した雇用の維持継続が第一。そのあとに操業する段取りをしなければならない。被害に遭われた方の復興に県内一丸となっているが、内陸には風評被害がある。あそこに物を頼んでもできないだろうと。物流が少しずつ回復しつつあるのに風評被害で物の発注が来ない。これから連絡して大丈夫だと伝えなければならない。

  ここ何カ月か物流が正常に戻るまで金融機関と行政の協力がないと中小は大変だ。工業クラブは大手、中堅どころが多い。資金への影響はあまりないが、本当の地元の経営をしている人には大変な時期になると思われる。

  -大手の停滞と県内加工業者への影響は。

  長岡 影響はどんどん出てきて、1割2割のダウンでなく、大手の2次、3次加工をしているところは大変だ。自社関連も半導体もそうだし、すべての分野で化学製品が入ってこないことがある。例えば納豆の包装資材がないなど。

  計画停電になると、物流が戻ってきて生産開始されたとき大変なことになる。計画停電は東北電力はどうなるかは分からないが、原発の停止の影響が出てくるのではないか。

  -資材の値上がりは。

  長岡 徐々に上がっている。ガソリン、軽油、灯油、重油、化学製品が全部上がっている。2次加工の関連ではステンレス関係の鉄製品の中で、工場がやられて入ってこない物がある。加工するところは大変で、すべての分野にわたって関連する業界がたくさんある。加工しても包装資材がないから持って行けない。全部北関東からの影響だ。

  -復興に向けて工業クラブとしての対応、行政に望むことは。

  長岡 大船渡のマイヤさんを通じてマスク、消毒剤、歯ブラシなど義援物資を送った。11日に復興のための委員会と協議会を開く。今後、どのように支援していくか話し合いたい。雇用の安定を図るために会員同士が協力して、助け合いや協力を申し合わせたい。復興、再建しようという意欲を起こさせるよう県がやってほしい。少しでも光があれば、将来の見通しを皆さんから勇気づけられると思う。

  例えば金融関係で相談に行っても難しいことを言われれば再建、復興しようという気にならない。やはり何とかなると言うことを言ってもらえば、再建しようと言う気になる。県人口が140万を切って、さらにこういう被害を受けて岩手県から人が流出するようなことにならないように。地元定着になるような雇用、労働環境を早く作っていかねばならない。これから行政が、民間と一緒に考えてほしい。

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