盛岡タイムス Web News 2011年 4月 12日 (火)

       

■ 〈東日本大震災津波〉
   復興委員会が発足 将来のまちの姿、6月にビジョン案

 県東日本大震災津波復興委員会(委員長・藤井克己岩手大学長)が11日設置され、盛岡市内で第1回会合が開かれた。委員には県内の各会の代表ら16人が委嘱され、県が策定する復興ビジョン、復興計画に向けて検証、審議を進める。同日は県側から達増知事ら幹部が出席。県内の被災状況、対応状況について説明し、復興に向けた論点について協議した。委員会の審議や提言を踏まえ、県では6月ごろに復興ビジョン案を作成する見通し。その後、将来のまちの姿を描いた復興の具体的な事項、工程の基本を明らかにする復興計画を作る。

  委員会は県医師会、県漁連、県建築士会、県社会福祉協議会、県銀行協会、県工業クラブ、県農協中央会、県沿岸市町村復興期成同盟会、県商工会連合会などの代表らで構成。専門的知見と経済社会面の要請などから調査、審議していく。委員会の設置により復興に向けた歩みが本格的に始動した。

  復興ビジョンと復興計画は、さまざまな分野の取り組みを総合的、効果的に行うとともに、地域社会の構成主体が一体となって取り組むための指針に位置づけられる。中長期的な期間を想定し、ビジョンで基本理念や取り組みのあらましを示し、計画では具体的に取り組む施策や事業、工程表などを定める。

  復興の取り組み内容として県は▽市町村行政機能の支援▽まちづくり(ハード、ソフト両面からの災害に強いまちづくりなど)▽水産業等(農林業含む)▽学校・教育▽医療・福祉▽経済産業・雇用▽観光-7分野をたたき台として提示。論点について意見を求めた。

  行政機能の支援は被災者の生活再建やコミュニティーの維持再生への支援も観点に含まれ、まちづくりでは防災型の都市計画に基づくまちづくり計画のあり方、避難を念頭に置いたソフト面のまちづくりのあり方、防災の観点からのインフラ復旧のあり方などが論点として挙げられる。

  山本正徳宮古市長は「今回の災害は地震による災害ではなく津波による災害ということを認識してほしい。流されたところでもう一度生活するのは難しいという災害だ。緊急には集団生活している被災者が家族ごとの生活に早く戻す支援をし、人に生きがいを与えるため産業を少しでも進める必要があり、仮の状況でも急ぐべきだ。都市計画をしっかり作ってから最終的な産業の位置が決まってくる。自助、共助、公助の役割を決めて進めていくのがいい」と沿岸市町村を代表して述べた。

  水産業に関しては大井誠治県漁連会長が「生産から消費者までのラインが壊滅した。流れを作らなければならない。国と県の支援により早い復旧を望みたい」と支援の必要性を訴えた。長澤寿一県農協中央会長は「個人の収入が確保できなければ地域に活力が生まれない。事業所、会社の復興へ金融支援の具体策を示す必要がある」と述べた。

  小川惇県建築士会長は「災害に強い市街地整備として住民の安全から職住分離を進めるべき。沿岸部と内陸の市町村の広域合併の検討を。コミュニティーの再生で海から離れられない事業所等があるため地域コミュニティー基地を人工地盤の上に避難施設として設けて、鉄筋コンクリート造の集合住宅を造ることが沿岸地の災害に強い市街地整備になるのではないか」と提案。

  県医師会では内陸医師会が沿岸に継続した応援態勢を組むことを決めているが、石川育成会長は「沿岸の医療を回復基調に乗せるかが課題」と述べた。

  桑島博県社会福祉協議会長は「地域福祉計画に支障をきたすと懸念している。福祉施設を早急に回復することは地域に住もうという人たちに安心感を持ってもらえる」と計画への盛り込みを求めた。

  久慈市のNPO法人やませデザイン会議の田中卓議長は「地域コミュニティーは一人ひとりがつながっている。災害の後は大きなバックアップが必要。立ち上がるには一人ひとりに必要なものが違っている。必要なものが必要なところにいくような仕組みを考えていきたい」と述べた。

  達増知事は「1カ月が経過し、被災地は本格的な復旧が緒に就いたばかりで被災者の生活支援は最重要で取り組まなければならないが、復旧から復興へ未来を見据えた活動に歩き出すことも重要。復興計画は地域の未来の設計図にすることが必要」と述べ、新しい古里をつくるための議論を期待した。

  委員会には専門家に建築・土木や都市計画といった技術的な専門家による専門委員会を設置できることとした。県は併せてインターネットを活用し被災者の意見や、委員にはいない県外を含め、専門家や関心の高い人からの意見、知見を吸い上げる仕組みも検討している。

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