盛岡タイムス Web News 2011年 4月 13日 (水)

       

■ 〈過ぎ去りし日〜北上山地の写真帳〉49 駅の思い出 横澤隆雄

     
  冬の駅(昭和60年ごろ、遠野駅にて)  
 
冬の駅(昭和60年ごろ、遠野駅にて)
 
  昔、山里の生活の中心には駅がありました。地域で一番にぎやかだった場所は駅前で、盆踊りなど地域の行事も駅前で行われるのが普通のことでした。駅は列車に乗り降りする場所であるとともに人の集まる場所でもありました。

  私の家は駅からかなり遠い場所にあったので、幼い頃は駅が遠い世界に感じられていたのですが、たまに列車に乗って出かけるのはとても楽しみなことでした。

  あるとき、祖父が盛岡まで行く用事があるので一緒に連れて行ってくれるというのです。大喜びで祖父の自転車に乗せてもらい駅に向かったのですが、砂利道で車輪をとられた自転車が転倒してしまい、擦り傷だらけになり泣きながら家に戻った苦い思い出があります。

  駅までの道のりを気にせず列車に乗れる年代になった頃、山里の駅はすでに無人駅になっていて駅前もすっかり寂れてしまいました。にぎわう駅を見ると、幼い自分にとっては遠い世界だったあの山里の駅を思い出してしまいます。
(紫波町)

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