盛岡タイムス Web News 2011年 4月 17日 (日)

       

■ 〈不屈の意志〉岩手魚類・藤田社長 「元気さ」を発信を 

     
  震災の水産市場への影響について語る藤田社長  
 
震災の水産市場への影響について語る藤田社長
 
  盛岡市の岩手魚類の藤田光孝社長に東日本大震災津波が水産市場にもたらした影響を聞いた。同社は盛岡市中央卸売市場の卸売業者として、海産物の買い付け、販売などをしている。岩手、宮城、福島の水産業が大きな打撃を受け、自粛によって外食産業の需要が減り、市場は厳しい環境に置かれているという。被災を乗り越えて三陸の海の環境を一日も早く回復するよう願っている。

  -津波が漁業にもたらした影響は。

  藤田 出荷者の約3割が被災した。3割の取引先がなくなれば大変なことだ。三陸の魚介類は代わりうるところはなかなか出てこない。早く産地、漁港が復興して、既存の取引先に再開してもらうのが一番。

  今まで3月11日以降の商いは、3月中はほとんど前年比60%台、月トータル80%台。今月も80%台を何とか保っている形で、いまだ今後どうなるかシナリオを描けない。盛岡を中心に県内、八戸方面の得意先が多い。得意先は直接的に取り引きしているところで、全体の売り上げが5%内外から10%未満のところの方々が被災している。中には廃業するところが出てきている。

  内陸部のスーパーは消費動向が違ってきている。ごみの問題で生魚が売れないとか、店もごみ処理、廃棄物処理の問題で、従前通り商売がなかなかできなくなっている。そういった中でのわれわれの商いの数字になっている。今後の課題は消費動向を踏まえながら、今までとは違った物、違った商品を扱っていかねばならない。

  一番困るのは仙台地区で冷蔵庫が相当被害を受けたこと。保管されていた加工向けの冷凍魚が相当被災して水をかぶった。約半年から1年分の相当な割合が被災した。供給がタイトになる物も中には出てくる。1年2年かかるか分からないし、早めに今年以降の漁で復活できるものもあるかもしれないが、しばらく今までのような価格では売られなくなる物も出てくるだろう。

  野菜と違い、魚は高い物はなかなか売れない。高級魚関係が売りにくい。スーパー小売りだけでなく、業務筋やホテル関係の扱いも減ってくる。現在はまるっきりなくなっている。そろそろ皆さん応援に元気を出してもらわないと、すべての経済に影響すると思う。皆さん控えめにしてきたものも、それではいけない、少し食べてみたいという気持ちも出てくるのではないかと期待している。

  -被災が大きかった業者は。

  藤田 いわき地区の古くからのかまぼこ屋が数件、再開のめどがたっていないところがある。取引先で一番大口の出荷者が集中していたのが気仙沼。魚種で言えばマグロ、カツオ。魚市場近辺に会社が集中していて跡形もない。早く再開したいと言っているが、従前通りの規模にはならないし、再開するにしても漁港に上がった生魚の出荷にしかならない。付帯設備の加工業はしばらく難しいだろう。そういったものが他地域へシフトしていかざるを得ない。

  すると輸送費もさることながら、タイムリーに注文に応じることができるかどうかが一番困ったところ。翌日の注文は前日の発注で事足りていたのが、半日から1日ずれ込んでしまう。より鮮度が良い物、賞味期限や日付が付いた物については、新鮮なうちに食卓に届けねばならない。数量的にこれからうまくできるのかどうかが課題。

  東日本に被害が集中して、北海道や関東以西の加工屋に注文が集中すると、代替品が集中して全国から発注が行く可能性がある。うまく対応できるのか。キャパ以上の物が全国から発注され、地方都市に思ったように供給がされるのかという懸念がある。そうならないよう頑張らねばならないが。

  -外食産業の自粛の影響は。

  藤田 岩手・宮城内陸地震で半年、観光客が来なかった。まして原発の問題があり非常に心配。お得意さんがダメージを受けるので。観光は消費の大きな材料なので、被災地の復興は当然だが、岩手は元気だと発信していかないと今まで元気だったところまで大変なことになる。知事、市長にはリーダーシップを取ってほしい。三陸の海の環境整備をしっかりやってほしい。

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