盛岡タイムス Web News 2011年 4月 19日 (火)

       

■ 〈東日本大震災津波〉
   浸水区域への建築制限 災害危険区域への指定、県が市町村に要請

 達増知事は18日、東日本大震災津波の沿岸被災地で問題となっている浸水予想区域への建築について、市町村が条例制定により災害危険区域を指定し、新たな建築物を制限、禁止するよう要請する方針を明らかにした。条例で災害危険区域と指定されると新たに建築物を建てることができなくなる。建築基準法における災害危険区域の指定は県による条例制定も可能だが、達増知事は街区のあり方などを決めていく前段階の災害危険区域指定のため「市町村の主体性で決めていくのが筋な場合、その決定を県が支えるのが世の中のあるべき姿ではないか」と、各市町村の主体的な制定を促す理由を説明している。

  国、県、市町村とも復興ビジョンや計画がない中、津波浸水区域でも建築を制限することはできず、土地所有者らが災害後にプレハブ棟などを建て、復興と安全の両面などから課題となっている。大船渡市などでは、建築を見合わせるよう土地所有者らに「お願い」をしている状況だ。

  宮城県では県が同法の被災市街地における建築制限の条項を適用し一部自治体の被災地域に建築制限をかけて無秩序な建築を予防している。ただし適用条項の目的は都市計画や土地区画整理事業のためとされ、最大でも災害発生から2カ月しか制限できない。このため、政府では、期間延長の法改正を進める準備を進めている。

  これに対し岩手県は、達増知事が記者会見で「災害危険区域の指定をしていかなければならないと考えている。被災市町村に対してどのエリアが浸水予想区域になるのか技術的データを(今週から)提供して、指定手続きがスムーズに行われるようサポートしていきたい」と話し、安全確保を大前提に規制する必要性を唱え、主体は市町村とする考えを示した。

  宮城県と異なる対応について「災害危険区域だから制限をかける趣旨なので、(防潮堤整備など浸水防止対策が講じられ)危険が去らない限りはずっと制限をかけることができ、制度の趣旨からもこの方がいい。さまざまな安全を確保しながら未来志向のまちづくりなどを考えていく段取りからも、災害危険区域の指定の方が有効」と話す。

  県では沿岸の各市町村に浸水予想区域のデータを示して、津波防災上の危険区域を理解してもらうとともに、各市町村の実情や政策に合わせた条例の制定を促していく。

  指定期間は、防災施設が多数損壊し、損壊度合いがそれぞれ異なる現状から、危険が解消されるまで数カ月から年単位まで個別に想定される。しかし、宮城県のケースに比べ、一般的に制限期間は長くなる見通し。

  指定によっては個別の地権者らから反発の出る可能性がある。達増知事は「がんばろう岩手という言葉に象徴されるように個別の利害の対立ではなく、みんなで力を合わせて一つのものを作っていこうという流れは、大きなものとしてあり、それに沿って対応していけばいいと思う」と、理解が得られるとの見通しを示した。

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