盛岡タイムス Web News 2011年 4月 19日 (火)

       

■ 〈夜空を夢見る星めぐり〉279 八木淳一郎 銀河の光

     
  復興を待つ夜。その日、陸前高田の頭上には無数の星々がきらめいた。まるで海を見守るように春の銀河が東の空低く横たわる(4月7日午前1時)  
 
復興を待つ夜。その日、陸前高田の頭上には無数の星々がきらめいた。まるで海を見守るように春の銀河が東の空低く横たわる
(4月7日午前1時)

 
  春は、天の川が冬の星座たちと一緒に西の空低くに移動していく季節です。一方、春の星座、例えばおとめ座やかみのけ座、しし座などにはたくさんの銀河があって、それぞれおとめ座銀河団、しし座銀河団などを構成しています。

  これらのはるか遠くからやってきた淡い光が、天の川の光に埋もれることなく見ることができるのが今の季節の特徴です。私たちの銀河系の外の銀河を観測する絶好の機会なので、春の夜空は深宇宙の窓とも言われています。

  盛岡の街の光を逃れ、例えば東八幡平や早坂高原などに行って、そこで、視野の広い双眼の望遠鏡などでこうした春の星座の銀河の群れの方にレンズを向けてみます。

  すると、漆黒の夜空をバックに無数の星が明滅している姿を目にすることができます。あまりにもたくさんの星数なのでところどころ霧か雲のようにさえなっていますし、金銀砂子(すなご)に例えられるのもうなずけます。

  銀河団に強力なレンズを向けて写真に撮りますと、無数と言っていいほどのたくさんの銀河が写ってきます。

  それらを星と思って見ますと、実は星ではなくてその一つ一つが数千億個もの星の集団である銀河であることを知り、あらためて宇宙の深さに驚かされます。

  私たちの天の川銀河は二千億個の星から成っています。その星というのは太陽と同じ自分から光り輝いている恒星です。

  私たちの地球は太陽の周りを回りながら、太陽の熱と光の恩恵にあずかって地上に生命を育んでいます。

  その太陽も、広大な宇宙では小さな光の点に過ぎず、銀河系を遠く離れて見れば埋もれてしまって見分けることさえ難しくなってしまいます。

  私たちの銀河系は十数個の銀河とともに局所銀河群というグループを作っています。そしてこの銀河群はおとめ座銀河団の一員です。

  さしわたしが六千万光年のおとめ座銀河団は数百もの銀河で構成されていますが、もし仮に、さらに遠く離れたところから見ることができたならばこうした銀河団もまた、いくつか集まって超銀河団を形成しているのがわかるでしょう。

  私たちが生まれてきたわけや生きていく理由はともかくも、私たちはこうした無数の星が輝く宇宙という世界に生まれてきたのだと、そしてこの宇宙の一員なのだということを、生まれてきたからこそ知ることができますし、また、生きている限りそのことに思いを巡らせることができる-それだけは間違いありません。

  春はそのことを教えてくれる季節でもあります。
(盛岡天文同好会会員)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします