盛岡タイムス Web News 2011年 4月 24日 (日)

       

■ 〈東日本大震災〉ボランティアは遠野が拠点に 1000人登録、毎日バスで現地へ

     
  photo  
     
  がれきの撤去や炊き出しなど被災地では連日多くのボランティアが活動している。宿泊施設も被災した沿岸部では盛岡市などに宿泊し日帰りで被災地に入るボランティアも少なくない。被災地で活動するボランティアからは「個人だと交通や宿泊などアクセスが難しく、ボランティアの受け入れ先を探していた」「県外は最初はシャットアウト。個人になるとさらに受け入れが難しい状況だった」という声も出ている。 (泉山圭)

  県災害ボランティアセンターなどようやくボランティアの受け皿も整備されてきたが、まだまだ窓口は限られる。こうした中、遠野市の「遠野まごころネット」(佐藤正市代表)では、県内外からの個人、団体のボランティアを常時受け入れて被災地に派遣している。

  遠野まごころネットは同市内のNPOや企業、社会福祉協議会、青年会議所などで組織する任意団体。新たに加わった団体も含め、現在は約20団体で構成する。約1千人がボランティアに登録。市内の体育館や地区センターなどにボランティアを宿泊させ、数台のバスで大槌町、陸前高田市に毎日ボランティアを派遣する。行政と連携をとりながらも中心となって活動するのは民間の力だ。

  昨秋に立ち上げた「遠野の風土と観光を考える連絡協議会」が中心となり、震災からわずか3日後に活動を開始した。最初は何も情報がない中で市民提供の物資とトラックをチャーターして首都圏から運んだ物資を沿岸部に届けた。

  震災から1週間後、再び釜石市経由で大槌町を回り、震災直後とほとんど変わらない状態だった同町で集中的にボランティアすることを決めた。町災害対策本部に申し入れ、情報収集と避難所マップの作成を行った。

  現在の活動は▽家屋整理▽足湯▽お風呂の設置▽心のケアに向けたミニコンサートの開催▽炊き出し|など多岐にわたる。ボランティアのメンバーには法律の専門家や養護教員なども含まれる。

  同団体で情報担当を務める小松正真さんは「このくらい人数が増えてくると混乱もするが、いろいろな分野に対応できる。うちとしてはすべてをボランティアでまかなうような方向で今手配を進めている」と話す。

  全員がボランティアといっても体調の管理や安全確保は最優先で行わなければならない。同団体では7日の余震の際も派遣を一時ストップし、幹部が安全確認に入った。ボランティアの中には短期間で帰る人もいる。作業の引き継ぎはリーダーを立て、事務局、現地のボランティアセンターと連携調整を取りながら活動する体制を採っている。

  遠野市は峠を越えて約1時間で大槌町や釜石市などの沿岸部へ到着でき、地理的に条件がいい。しかし、同団体が機能しているのは地理的な要素だけではない。早く被災地へ入ったことは、現地の災害対策本部などと密接な関係も築くことにつながった。団体には社会福祉協議会も加わっているため、各地の災害ボランティアセンターとの連携もとれる。遠野市の災害対策本部も毎日の会議に出席し、情報共有や市のストックヤードの使用で協力。さまざまな組織・団体が横の連携でつながっているため、何をやるにも動きは速い。

  小松さんは「初期の動作の速さ、多くの市民が助けてくれたことが大きい。うちらは災害のプロでも、ボランティアのプロでもないが、違う分野のプロが集まってうまくできる体制が構築されればいい」と話す。

  今後は盛岡市など県央部からのボランティア派遣や物資供給の際の中継拠点としての活動にも期待が高まる。被災者を支援したいという思いは誰しも同じ。少しでも早く被災者に支援の手が届くように、他地域でもさまざまな団体がさらに手を取り合うことが求められる。

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします