盛岡タイムス Web News 2011年 4月 26日 (火)

       

■ 〈不屈の遺志〉岩舘電気・平野喜嗣社長に聞く 工事ストップ、給料どうする

     
  支援物資をトラックに積む平野喜嗣岩舘電気社長  
 
支援物資をトラックに積む平野喜嗣岩舘電気社長
 
  県電気工事業工業組合理事長の岩舘電気(盛岡市長田町)平野喜嗣社長(64)は、震災現場に通った回数が8回を数える。現地で目にした惨状。沿岸部の支部組合に支援物資などを届けてきた。仮設住宅の着工が始まり、会員企業には下請けながら電気工事の仕事も入り出した。しかし内陸部企業の本業は工期延期などで厳しい状況に見舞われている。大震災の影響が波及し始めたと危機感を募らせる。(大森不二夫)

  -被災地を訪ねての感想は。

  平野 まさか8回も行くことになるとは思わなかったが、沿岸部の組合員や家族、従業員が亡くなった。行方不明の方も含め11人。全壊した事務所が33カ所もあった。最初は現地と連絡もつかなかったが少しずつ取れた。大震災後3日目から被災地に入った。本当に何も建っていなかった。電柱もふっとばされていた。電気の配線が残っていても、海水でダメ。漏電の恐れもあり使用はできない。すべて一からし直し。それでも電気のない所でみな頑張っていた。組合員からは中古でいいからペンチやドライバーがほしいと言われた。地震ももちろん恐いが津波の恐ろしさは尋常でない。その被害の状況たるや本当に言葉が出ない。すでに三陸は3度回ったがどのような復興の道筋になるか先が見えない。

  -どんな支援物資を持っていったのか。

  平野 全壊や半壊の組合員の会社や事務所はほとんど工具が流された。必要な工具類の手当てを至急しなければならなくなった。まずはわが社の会社の裏側の駐車場と資材置き場を臨時の支援物資の入荷と配送センターにした。全日本電気工事業工業組合連合会から全面的に協力を得た。ペンチ、ドライバー、電工ナイフ、メジャーなど電気工具やヘルメットなど送ってもらった。当社で仕分けしてトラックで沿岸部の各支部に持っていった。わが社のトラックも出した。まさにボランティアだ。

  -被災地で仮設住宅のプレハブ工事が始まった。貴組合員にも仕事が回っているか。

  平野 プレハブ工事は中央にあるプレハブ建設協会が中心となり仕事を回している。当組合では、電気工事について被災地の地元電気工事会社に発注するように同連合会を通じて要請してもらった。プレハブ建設協会も理解を示しくれた。そこの会員会社などを経由して今月上旬から当組合企業への支援要請が入ってきた。あくまで下請けだが。

  -貴社でもプレハブの電気工事の仕事をしているが。

  平野 被災地ではプレハブ住宅の着工が進められている。家を建てれば当然電気は必要になってくる。確かに電気工事会社の出番となる。地場の会社に仕事が入ってくる。当社も仕事を請けた。4人が1チームになり6チーム編成で被災地に入り配線をつなぐなどの仕事をしている。宿泊施設がないので日帰りでなかなか大変な仕事だ。他の業界からは仕事が増えてうらやましいと言われることがある。

  -本業の方はどうか。

  平野 本来の仕事は干上がったままだ。大震災の影響がもろに出てきた。仕事が入らない。工期は延期になった。役所の仕事が取りやめ。入札も延期。これでは給料が払えない。正直いって商売にならない。これから元に戻るのか不安だ。金融機関へのつなぎ融資の申し込みなどを考えないとならない。

  -地域経済を復興させるには何をすべきか。

  平野 まずは市も県も国もちゃんと予算の執行をしてもらいたい。公共事業を積極的に行い被災地の地場企業にどんどん仕事を出すことだ。地場企業に余裕が生まれれば、再建に向けた力が沸く。岩手なりの復興計画は早々に策定してもらいたい。今の状態では先が見えないのだから。

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