盛岡タイムス Web News 2011年 4月 28日 (木)

       

■ 〈不屈の意志〉東亜電化・三浦宏社長に聞く 東北に必要なのは技術力

     
  研究現場での三浦社長  
 
研究現場での三浦社長
 
  盛岡市の東亜電化の三浦宏社長に、東日本大震災津波後の東北の製造業の展望について聞いた。同社は今年度は東北で唯一、特許庁の産業財産権制度の活用優良企業表彰を受けた。三浦社長は厳しい交通事情の中で上京し、18日の授賞式に臨んだ。トリアジンチオールの製品への応用など、岩手大や県との産学官連携が評価され、東北の製造業復興の旗手として期待されている。
(鎌田大介)

  -特許庁の表彰を受けるまでの研究や開発は。

  三浦 産学官連携が平成になって盛んになった。その中のひとつがトリアジンチオールを使った金属と高分子材料、ゴムやプラスチックに反応性を持たせた物による製品化。当社の接着技術として、産学官連携で作られた。トリアジンチオールは硫黄を使った高分子材料で、金属とも樹脂とも反応する特性を生かし、トライインサート成形接着を構築した。プラスチックの射出成形で、金型にトリアジンチオールで処理した金属を入れて樹脂を成形する。接着剤を使わず反応させて接着する技術を、工業技術センターとわたしたちの異業種のトーノ精密と連携して開発した。接着剤を利用せず金属と樹脂を一体化したのが第一番目のわたしたちの事業化の製品。当初はホンダの燃料電池自動車に使って実績を上げた。今はリチウム電池に使い、その他の業界に応用して使っていこうとしている。当然オンリーワンの技術。銅系やアルミ系の材料の接着技術として、世界特許も含めての申請。

  -今回の震災では燃料不足で、電気自動車の将来性が認識された。

  三浦 今までのガソリン車から、ガソリンは使うが燃料優位タイプの物がハイブリットカーとして出た。その先に電気自動車があり、今後はガソリン車からハイブリットカーに全面的に動くだろう。その先に電気自動車、燃料電池自動車が出てくる。水素を燃やして電気を蓄える。そのときいつも必要なのはリチウムイオン電池。電池に対してはわたしたちの金属樹脂を接着する技術が有効だろうという提言とともに折衝を始め、各社と試作している。国や県からの支援を受けながら開発を進めてきた案件で、特許庁に申請する。わたしたちは国際的にこの知材が有効活用できるようにしたい。

  そのほか「TIERコート」がある。離型剤を用いずにエポキシ樹脂の成形を可能にする。エポキシ樹脂はレンズを作るのに使う材料で瞬間接着剤、金属とくっついてエポキシ材料を成形することはできないが、うちのTIERコートをやると金型からはがれる。これまでにない離型性がある。プラスチックの高い精度のレンズを作るのに重要な技術だ。

  -授賞式では東北地方の企業として激励されたか。

  三浦 東北はわたしたちだけだが、受賞企業の中には工場が八戸にあって被害を受けたところがあった。特許庁長官からは「被害が大変だったろうが頑張ってほしい、必ずや復興するようさまざまな支援と施策を特許庁、経産省がする」という話はあった。こういう時期だからこそ日本を盛り上げるため知的、知財戦略は重要だ。

  -三陸のために何ができるか。

  三浦 わたしどものつきあいがあるところがあるので、支援物資の供給とともに義援金を組合を含めて差し上げた。岩手、東北からどんどん仕事が電力不足や風評でなくなってしまわないよう、新しい物を提言しながら東北地方に残るよう、県や工業技術センターとともにチャレンジしていきたい。

  -今後の復興のため何が必要か。

  三浦 だいぶ痛手を受けている。東北、福島はことさらそうだが、撤退して関西地区に分散する。電力供給を含めてフォローいただきたい。前はグローバル化の流れの中で岩手から海外にアルプスなどが安い労賃を求めて撤退し出て行った。安い労賃を求めて東北に出て来た企業体は残らない。東北に何が必要かと言えば、新しい技術を確立するための支援策。企業も従来の仕事に固執しないこと。沿岸も復興だけでなく新開発による都市づくりをしなければならないように、もの作りも今回をきっかけにしなければ。それに対する国や県の支援が大事だし、企業も産学官、異業種の連携が大事だ。

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