盛岡タイムス Web News 2011年 5月 5日 (木)

       

■ 〈東日本大震災〉地元の活気を被災地へ 雫石町軽トラ市で激励

     
  早稲田大学古谷誠章研究室のブースで被災者へ送るメッセージを記す子どもたち  
 
早稲田大学古谷誠章研究室のブースで被災者へ送るメッセージを記す子どもたち
 
  今年で7年目を迎えた「しずくいし軽トラ市」(雫石商工会、同実行委員会の主催)が1日、雫石町中心部のよしゃれ通り商店街で開幕した。軽トラックの荷台などに野菜や総菜などを満載した約60店舗が出店。地元経済を活性化し、震災被災地の応援につなげようと気勢を上げ、被災地へのメッセージの寄せ書きなども行われた。山田町や大槌町、宮城県気仙沼市からも出店があり、被災した顔なじみの店主を大勢の人が激励した。(馬場惠)

  軽トラ市は午前9時、先着500人の来場者に配られたクラッカーの一斉発破を合図に開幕。あいにくの雨にもかかわらず町内や盛岡市などから大勢の買い物客が訪れた。地元、石塚鮮魚店の石塚美通さん(75)は、入荷がストップした近海ものに代えて北海道産や青森県産の魚貝類で商売。「地元に活気があれば、回り回って被災地にもいく。みんなで元気を出さねば」と売り声に力を込めた。

     
  山田町、寅丸水産の上林さん一家を激励して出店者もメッセージ  
 
山田町、寅丸水産の上林さん一家を激励して出店者もメッセージ
 
  「じっとしていてもしょうがない。働かないと」。5年ほど前からの常連出店者となっている大槌町の菊地俊満さん(67)、真理子さん(62)夫妻は、焼きたての大判焼きを販売。自宅は無事だったが、海辺の倉庫に預けていた海産物の商品はすべて流失。俊満さんは兄夫婦らきょうだいや親戚を亡くした。震災からしばらくは、避難してきた親類の世話などで働く暇もなかったが、商売の第一歩を踏み出したという。

  「仮設住宅に入れる人ばかりでない。少し時間がたつと、さらに悲しみを感じる人も出てくると思う。気持ちだけは元気に、励まし合っていかないと」と真理子さん。「津波を甘く見て逃げなかったり、車で渋滞に巻き込まれ命を落とした人が大勢いる。子どもたちにも、しっかり教えていかなければ」と気丈に語った。

  一方、山田町の寅丸水産の上林禎久さん(45)、ともえさん(36)夫妻と長男の想来君(山田北小5年)は唯一、被災を免れた家財の販売車に大漁旗と被災した山田町の写真を掲げ、会場でカンパを募った。

     
  被災地への募金を呼び掛ける雫石高校生徒会執行部  
 
被災地への募金を呼び掛ける雫石高校生徒会執行部
 
  一家は、店も自宅も津波で流され、山田北小で避難生活を送る。

  「内陸の人に三陸の本物の味を」と満載して来るはずだった魚貝類やつくだ煮はない。今はただ、世話になった雫石の人たちや商売仲間に元気な顔を見せ、被災地の現状を伝えるのが精いっぱいだ。

  「雫石の方々には本当に良くしてもらった。ありがたい。恥をしのんで皆さんに助けてもらわなければ」と禎久さん。「内陸の人は、もう震災が終わったかのように感じているかもしれないが、被災地では、まだ遺体が毎日、見つかっているような状況。復興には5年、10年はかかる。風化させてもらいたくない」と訴える。ともえさんは「来るべきかどうかも迷ったが、応援してくれる皆さんの気持ちが伝わってきた。ここに来て、やっと頑張ろうと決意できた」と前を向いた。

     
  「まず地元経済を元気に」。雨にもかかわらず、大勢の買い物客でにぎわう軽トラ市  
 
「まず地元経済を元気に」。雨にもかかわらず、大勢の買い物客でにぎわう軽トラ市
 
  上林さん夫妻のもとには買い物客や出店者の仲間らが大勢、立ち寄り「あきらめないで」「いつまでも待っているから」と励ましの声を掛けた。

  会場では、たぐりアメの売り上げを被災地の義援金に充てる雫石商工会女性部の支援活動や雫石高校生徒会執行部による募金活動なども行われた。雫石高生徒会長の佐々木恵梨さん(3年)は「復興を目指さなければならないけど、頑張り過ぎないでと伝えたい。継続して支援を続けたい」と被災者を思いやった。

  軽トラ市は11月まで月1度のペースで開催される。次回は6月5日。問い合わせは実行委員会事務局(電話019-692-3321)へ。


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