盛岡タイムス Web News 2011年 5月 9日 (月)

       

■ 堤防で津波水位が3メートル低下 県技術専門委がシミュレーション結果公表

     
  津波で破壊された堤防。三角形をしたブロックが押し波で陸側に転び、基礎に接する底面を見せて並んでいる(左側の列)。本来は、左端のブロックから真っ直ぐ道路沿いに立っていた(山田町田の浜地区で)  
 
津波で破壊された堤防。三角形をしたブロックが押し波で陸側に転び、基礎に接する底面を見せて並んでいる(左側の列)。本来は、左端のブロックから真っ直ぐ道路沿いに立っていた
(山田町田の浜地区で)
 
  8日開かれた県津波防災技術専門委員会(堺茂樹委員長)で、津波再現シミュレーション結果が初めて示された。宮古市の田老海岸・田老漁港海岸や山田町の山田漁港海岸などは壊滅的な被害を受けているものの、海岸堤防があったことで水位の低下や流速の低減などに一定の効果を発揮したと分析した。一方で、大槌町の大槌漁港では流速の低減には効果があったものの、水位には変化が見られないという結果も出た。結果は堤防の有効性を確認する基礎資料として使われる。

  今回のシミュレーションは、海岸堤防などの現況施設が押し寄せる津波をどの程度低減させる効果があるかを明らかにすることが目的だった。それによると、田老海岸・田老漁港海岸では、堤防がなかった場合、施設背後の最大水位が15・6bに達していたと見られるが、堤防があったことで12・5bまで低減したとの結果が出た。

  山田漁港海岸、陸前高田市の高田海岸、田野畑村の嶋之越海岸、岩泉町の小本海岸などでは施設背後地の最大水位を3b以上低減させる効果があったという結果が出た。流速の低減についても田老、山田、小本などでは一定の効果を発揮するという結果が導き出された。

  一方で、大船渡市の三陸海岸越喜来地区、田野畑村の島の越漁港海岸では水位・流速ともにほとんど変化が見られず、大槌漁港海岸では、施設直背後の流速を毎秒4・5b低減させる効果があるものの、水位についてはほとんど変化がないという結果が出た。

  堺委員長は「既存防災施設の効果に関して、避難時間の確保、最高水位の低減、流速の減衰という3つの観点で見たが、すべてについて効果があったと見られる」と結果を分析している。

  「今後は追加計算も行っていくが、構造物がどの時点で破壊されたのか、どの程度避難時間を稼げたのかなども見ていく必要がある」と今後の議論の方向性を示している。

  委員からはシミュレーションの手法について、効果を検討する横断地点を増やすことや、浸水面積だけではなく体積での低減効果を見るべきなどといった意見も出たという。

  県土整備部河川課では「4回目以降の専門委員会で個別の地区ごとの議論にも入るとみられるため、より詳細な結果も提示したい」としており、シミュレーション結果を具体的な施設整備の検討に用いたい考え。

  この日の委員会では、代表的な海岸保全施設の被災メカニズムも提示。傾斜式の防潮堤では、越流による天端や裏法の破壊、盛土浸食、背後地盤の洗掘が生じていること。直立式の防潮護岸の多くでは、引き波時の越流による堤脚部の洗掘、護岸本体の転倒、天端工の破壊、背後地盤の浸食が見られている。

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