盛岡タイムス Web News 2011年 5月 12日 (木)

       

■ 〈東日本大震災〉宮古湾に「コイ」泳ぐ 滝沢村の劇団ゆう、滋賀から善意仲介

     
  宮古市藤原埠頭で掲揚された「復興祈願こいのぼり」  
 
宮古市藤原埠頭で掲揚された「復興祈願こいのぼり」
 
  東日本大震災津波から2カ月となった11日、宮古湾上空に、復興を願う巨大こいのぼり(体長50b、直径6b)が掲げられた。滝沢村のNPO法人劇団ゆう(菊田悌一理事長)と親交のある滋賀県長浜市高月町雨森地区の平井茂彦さん(66)らが被災地への応援を込めて制作。「がんばれ岩手」のメッセージを抱き、悠然と泳ぐ姿に、被災者らは「笑顔をもらった」と明日への一歩を誓った。

  掲揚会場となった宮古市藤原埠頭(ふとう)には、平井さんら雨森こいのぼり激励会の6人をはじめ、劇団関係者や宮古市民ら80人余りが集まった。劇団ゆう宮古・下閉伊地区後援会の大坂文人会長の会社が所有する大型台船のクレーンでつり上げ、海上36bの高さに掲揚。津波被害の大きかった鍬ケ崎地区の人にも見てもらおうと宮古湾をゆっくり北上した。

  同市太田の徳田信子さん(57)は「孫にも見せたかった。こいのぼりのように宮古の町も上へ上へと向かってくれれば」。津波で自宅が浸水、腰まで水に浸かりながら逃げたという同市藤原の田鎖キヨ子さん(60)は「感動します。頑張らないといけませんね」と目を潤ませた。

  娘の柚衣佳ちゃん(1)と上空を見上げた吉野健一さん(31)、真理子さん(33)夫妻‖同市崎山‖は「手作りと聞いてびっくり。笑顔をもらえた。この子も、のびのびと育ってほしい」と願った。

  巨大こいのぼりは、農業用ビニールハウスのビニールシートを張り合わせ、水性ペンキで着色。雨森地区のまちづくり委員15人ほどが、高月町高時川河川敷で毎年5月に行うイベントのため4日間かけて制作した。今年は大震災の被災者を、遠い空からでも応援したいと「がんばれ岩手」と「勇気、希望、復興」の大文字をこいのぼりの腹に書き入れた。

  雨森地区は115戸の農村。さまざまな地域おこしに取り組み、1996年度には劇団ゆうとともに、地域づくり自治大臣表彰を受賞。これが縁で劇団と長く交流している。

  平井さんから「復興祈願こいのぼり」の写真を贈られた菊田理事長が、本県被災地で泳がせることを提案。劇団をはじめ、全国旅行業協会県支部や地域づくりネットワークもりおか、県青年国際交流機構などが協力し、掲揚が実現した。

  平井さんは「ひとときでも震災のつらさを忘れ、明日からの励みにしてもらえれば。向こうで揚げたときとは景色がまったく違う。こちらも元気をもらいました」。菊田理事長は「被災地を思い、本物を揚げてくれるという、その気持ちがうれしい」と語った。

  山本正徳宮古市長は「被災者にも大きな気持ちが伝わったと思う。勢いよく大空を泳ぐ姿は復興のシンボル。全国からの応援は元気につながる」と感謝した。

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