盛岡タイムス Web News 2011年 5月 12日 (木)

       

■ 〈不屈の意志〉アート不動産・桜井澄男社長に聞く 沿岸部過疎化が心配

     
  震災後の状況を語る櫻井社長  
 
震災後の状況を語る櫻井社長
 
  盛岡市のアート不動産の櫻井澄男社長に、東日本大震災津波後の不動産業の対応と、県内の地価の見通しなどを聞いた。年度末の異動期を直撃した大地震に、盛岡地区の不動産業界は混乱した。現在は被災者に民間賃貸住宅を紹介する窓口として忙しい。震災により県内の不動産価格が上がることはないとみており、沿岸部では高台の引き合いが増えているという。(鎌田大介)

  -地震発生後の状況は。

  櫻井 3月11日は仙台にいた。地震が起きて新幹線で帰ろうと駅に行ったら、帰るどころではない。仙台の青葉通りは事務所からみんな外に人が出ていた。建物は窓ガラスが割れていたし、仙台駅に行ったら駅の床が陥没し、ホテルも全然だめだった。次の日タクシーで帰ってきた。仙台は地震による被害が結構あった。

  12日朝にようやく会社と連絡が取れた。本来なら一番忙しい時期。土曜日でお客さんと約束もあるので店は開けた。電気もコピーも全く使えない。社員全員が集まってお客さんを迎える態勢は取ったが、無理しないでやれるだけやって、夕方早めに解散させた。社員は皆、無事で良かった。

  地震をきっかけに次から次に「借りる予定のアパートの契約をキャンセルしたい」「引っ越し屋が動いていないのでやめたい」などと言われた。3月は大変だった。地震後の停電で給湯器が破裂したというトラブルが100件くらいあった。3月は厳しい経営環境にあった。売り上げはうちの会社に限らず厳しかった。

  -今後の地価の傾向は。

  櫻井 地価の動向は岩手に限らず上がることはない。被災地は国の政策によるが、復旧復興がどうなるか。土地は持っていても担保価値はない。国の政策がきちんと方向が定まればまた別。ハウスメーカーの話では被災地では高台の土地、これまで売れなかったような土地が売れているという話は聞こえている。宮古も釜石も高田も高台に土地がない。被災者が高台に土地を求める傾向は出ているのではないか。

  盛岡への移動は少しずつ来ている。民間賃貸住宅の借り上げ制度ができてから、うちでも60人くらいは世話している。まだ数カ月は続くと思う。被災地から民間賃貸住宅に住む人も出ている。中古住宅や中古マンションを、宮古など被災地に帰らないで、親戚も息子もいるということで、盛岡近郊に探す方が、うちでも数名は出ている。将来的には沿岸部の過疎化がさらに心配で大変だと思う。

     
  盛岡市仙北1丁目のアート不動産  
 
盛岡市仙北1丁目のアート不動産
 
  -三陸沿岸のため何ができるか。

  櫻井 当面は被災地から住まいを求めていらしゃる方に仕事を通じてお役に立ちたい。会社としては義援金を社員と出している。介護事業もやっているのでうちの息子と社員が3人陸前高田に行っている。被災地の現実をきちんと見てボランティアとして入って少しでもお役に立ちたい。会社も計画的に何班かに分かれてボランティアしたい。

  -地域経済復興のため何ができるか。

  櫻井 復興のため国は国としてきちんとリーダーシップを発揮して、復興ビジョンを早めに出してほしい。中小企業は中小企業で、やはり自分の会社をきちんと考えて経営する。雇用を守るとか作る。うちも今回、良い人があれば、被災の関係で仕事をなくした人の不動産業で仕事をしてみたいとかやってみたい人がいれば採用したい。雇用の場を作ることが大事だ。ただこれからが大変、2年3年先が。今は津波地震の影響でこれから政府のお金が入ってくるが、2年3年先が大変になってくる。経済の疲弊で中小企業が倒産が出てくる。今は金融機関が全面的に支援するが、いずれは回収する。中小企業が圧倒的に多いので、経営判断を間違うと倒産や廃業が出てくるのではないか。

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