盛岡タイムス Web News 2011年 5月 16日 (月)

       

■ 〈潮風宅配便〜三陸の津波被災現地から〉46 草野悟 宮古のすし店復活へ

     
   
     
  この笑顔、見てください。震災から2カ月、ようやく店が復活します。

  3月11日、宮古駅前近くですし店を営んでいた「うちだて」は、1.5bほどの濁流が店内に入り、厨房器具や畳、椅子、板前の命である包丁など全てを失ってしまいました。ヘドロに埋まった店内を見て「やめたやめた」とあきらめたそうです。

  そんな心境の中、三陸鉄道を勝手に応援する会の宮古支部長として、被災後は店を放り投げ、せっせと避難所や被災地を回り、すしを握り続ける奉仕活動に没頭してきました。避難所の方々が「おいしい」と言ってくれるのが、少しずつ「やる気」を起こさせてくれたようです。

  店を修理するにも大きな費用がかかります。もう一度同じところで開業するには勇気が要りました。でも、仲間から「飲むところがない、なんとかしろ」と乱暴な激励を受けて立ち上がりました。

  運んでいるのはコールドテーブルです。刺身を切ったり、握ったりする親方の神聖な居場所です。仲間が「中古でいいんだろう」とカンパし、立派な調理台が到着しました。それでこのうれしい顔です。店内は見違えるようにきれいになりました。ま、片付けは女将がほとんどやってきたんですが。

  待ちに待った開店は、5月17日と決まりました。自粛ムードの中、県内の飲食店も苦境に立っています。もうそろそろ元気な声が夜の街にこだましてもよいころです。一歩ずつ、街が復活していきます。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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