盛岡タイムス Web News 2011年 5月 26日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉356 岩橋淳 おこる

     
   
     
  今週ご紹介の本作は、小学生の「ぼく」が、感情の一方の極、「怒る」ということについて思いを巡らすというもの。実はこの作品には、伏線ともいうべき姉妹作があります。

  2007年、本稿第181回にてご紹介した『ないた』(作画/長新太)。こどもからおとなへのハザマで、泣くということ、泣かなくなるということについて考える男の子の姿に、当のこどもは真剣な問題として、またおとなは、過ぎ去ってしまった季節を感じさせられる好編です。

  今回は、作画を長谷川義史さんの担当で、やはり「怒られる」のも商売のうち? こどもの目線で考える、「怒られる」ということ、そして「怒る」ということ。

  冷静に考えれば、「怒られる」ことの原因は、自分にある(ことが多い)。寝坊したり物を壊したり忘れ物をしたり遅刻したり。けれど、食べ物の好き嫌いは好みの問題だし、兄弟げんかは原因の半分は相手にもある。そうそうすべてを自分の責任にされるのは、たまらない! ならば他人様との接触をいっさい断って自由を謳歌(おうか)すればいい、はずなんだけれど。

  転じて、自分が怒るのは、どういう時か? いちいちもっとも、自分なりにナットクの「怒り」なんだけれど、それでは、怒ったそのあとの気分って、どうなんだろう…。

  自分の中に生まれては消える、数々の思い。それを省みるとき、たとえちょっぴりずつでも、おとなに近づいているのかもしれません。

  【今週の絵本】『おこる』中川ひろたか/作、長谷川義史/絵、金の星社/刊、1365円(2008年)。


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