盛岡タイムス Web News 2011年 5月 28 (土)

       

■ 〈潮風宅配便〉49 草野悟 復活「名物ドンコの唐揚げ丼」

     
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 浜の女は強い。驚きました。このお母さん、田老の赤沼秋子さんです。春なのに秋子さんです。

  以前このコラムでも紹介しました「駅‐1グルメ」の参加店 善助屋食堂の女将(おかみ)さんです。震災前に「これはうますぎる」と評判になったドンコの唐揚げ丼を手に持っています。田老の町をほぼ全滅させた津波は、善助屋食堂も完全破壊いたしました。その後安否を心配していましたが、偶然に「道の駅たろう」でレジのパートをしていた女将さんに会いました。もう大大感動でした。

  それから1週間、グリーンピアの敷地に仮設店舗ができ、そこへ出店したのです。それで復活、素晴らしい根性です。ご覧のように落ち込んではいません。凛とした美しいアルカイックスマイル、まるでモナリザです。

  本題の、復活後の味を賞味いたしました。ドンコは女将さんのご主人が釣ってくるものを使ってましたが、知り合いの漁師が漁を再開し鮮度抜群のドンコを調達。3枚におろし油でカラッと揚げます。ご飯に載せて、ここに秘伝のタレをかけます。これがもう実に見事なうまさ。甘辛く、上品なドンコの白身にこれ以上ないマッチング。

  まずは一口サクッと音を立てて口に運びます。薄い塩味の利いた唐揚げが口の中でワルツを踊りだします。次に甘辛のタレの浸み込んだご飯を一口。真っ青な青空が一瞬真っ赤になるほどの卒倒感に体が震えます。もうこうなると思考回路は停止し、黙々とカリッ、パク、カリッ、パク、を繰り返します。半分ほど食べたら温泉卵に絡めます。まあ、プロの食べ方ですかね。3分ほどで完食です。

  仮設テントの前の白いテーブルで涙とよだれが交差し、しばし満足感に酔いしれていました。お見事、しかも震災前より安い550円。これが三陸の味なんです。

  駅‐1グルメの参加店は4店も被災してしまいました。早く復活することを心から願う毎日です。それにしてもうまい。

(岩手中核観光コーディネーター)


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