盛岡タイムス Web News 2011年 5月 31日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉282 八木淳一郎 学名はコル・カロリ

     
  春の夜を横切る銀河  
 
春の夜を横切る銀河
 

 星の名前の多くはアラビア語ですが、どんな由来や意味があるのでしょうか。今の季節の星空から幾つか拾ってみましょう。

  春の代表と言えばおとめ座です。おとめ座の主星はスピカという名前の1等星です。スピカは「麦の穂」という意味です。おとめ座は農業の神デーメーテールにちなんだ星座であり、麦の穂を手に持って立っている女神の姿になっています。スピカはスパイクと同じ語源で、穂先がとがっているからなのでしょう。

  おとめ座の北側にはうしかい座があります。この星座の主星のアルクトウルスは1等星の2倍半も明るい0等星で、七夕の星の織り姫と同じ明るさです。アルクトウルスは「熊の番人」という意味があり、牛たちを熊から守る、カウボーイのような男というわけです。

  うしかいは2匹の犬を連れていて、その星座はりょうけん座としておおぐま座とうしかい座の間にあります。りょうけん座は小さくて目立たない星座ですが、周りが比較的ひらけているため、案外見つけやすいものです。主星はラテン語のコル・カロリの名があり、意味はお世辞にもロマンチックとは言えない「チャールズの心臓」というものです。いかがでしょうか?りょうけん座自体新しく作られた星座で、17世紀のポーランドの天文学者へベリウスによるものです。へベリウスは月面の海の名前の名付け親としても有名ですが、空気望遠鏡というものを作ったことでも知られています。空気望遠鏡?|これについては小岩井のまきばの天文館を一度見学してみてください。ここにはその望遠鏡の世界最大のモデルがあります。さて、コル・カロリの名前の由来ですが、18世紀、かのハレー彗星で有名なハレーの提唱によるものです。ハレーは当時のイギリス王チャールズ2世にたくさんの恩があったことから、その恩返しの意味で命名したと言われています。チャールズ王はすこぶる付きの愛犬家でもあったということです。コル・カロリは二重星で、望遠鏡で見ると二つの星が仲良く並んでいるのを目にすることができます。

  ところで、二重星といえば、おとめ座にもポリマという名前の美しい二重星があります。ポリマの名はそのものズバリの「おとめ」という意味です。ただ、星座ではおとめのおへそに当たる星です。余計なことかもしれませんが。
(盛岡天文同好会会員)


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