盛岡タイムス Web News 2011年 6月 2日 (木)

       

■ 〈東日本大震災〉大槌町吉里吉里でがんばっぺし広場 笑顔のにぎわい

     
  がんばっぺし広場で、山梨県から訪れた福嶋孝一さんから木のこま作りを教わる親子  
 
がんばっぺし広場で、山梨県から訪れた福嶋孝一さんから木のこま作りを教わる親子
 

 盛岡市や紫波町への避難者も多い大槌町吉里吉里地区で5月28日、全国から寄せられた支援物資の中から、生活に必要なものを住民に選んで持ち帰ってもらう「がんばっぺし広場」が開かれた。広場を企画したのは地元の堤乳幼児保育園(小笠原明子園長)。ボランティアによる炊き出しやスマイル写真の撮影など、さまざまな催しも行われ、地域の人たちは久しぶりのにぎわいを楽しんだ。
(馬場恵)

  震災津波から間もなく3カ月。被災者は徐々に避難所から仮設住宅や貸家などに移り始めている。自活する人も多いが、吉里吉里地区をはじめ、大槌町中心部は商店のほとんどが被災。日用品の買い物も釜石市などまで足を伸ばさなくてはならず、車がない世帯は一苦労だ。そこで、全国から届いた善意を地区全体で共有し、明日への活力につなげようと「広場」を企画した。

     
  気に入った日用品を探す吉里吉里の人たち  
 
気に入った日用品を探す吉里吉里の人たち
 


  1世帯20点まで物資と交換できる引換券を全世帯と小中学生に配布。園舎と園庭は、全国から集まった日用品や昼食を提供するボランティアのテントで埋まった。夏物衣料や食器など日用雑貨を求めて大勢の住民が参加。横手焼きそばや山形の芋の子汁など「うまいもの」の提供には長い列ができた。

  松村富美さん(66)は「ティッシュペーパーとか毎日使うものをもらった。お父さんと2人暮らしなので買い物も大変。感謝しています」。平野定雄さん(65)も「買い物や郵便局、銀行への用足しはバスで釜石まで行かなければいけない。30分の用足しに往復2時間」と苦笑い。炊き出しの汁物を味わい、ほっと一息ついた。

  山形市の山形ロータアクトクラブの7人は芋の子汁400食分を提供。メンバーの上田興一さん(27)は「少しでも元気になってもらいたい。希望や復興につながってほしい」と願った。

     
  「うまいもの」の炊き出しに長い列  
 
「うまいもの」の炊き出しに長い列
 

  広場の開催に合わせ、県外からプロのアーティストらが駆け付け、写真の無料撮影、木製こま作り、チェロ演奏、メーク・眉カットのサービスなども行われた。津波で自分や家族の写真が1枚もなくなってしまったという倉本はるさん(78)は、笑顔でカメラの前に座り「78歳の顔だけど、いい顔で撮れてる」と歓声を上げた。

  娘の久美子ちゃん(5)と夏服を探したり、イベントに参加したりして楽しんだ看護師の越田美穂子さん(41)は「片付けや洗濯、時間があれば、何かしなければと思って動いてきた。ストレスはないつもりだったけれど、ガス抜きも必要と実感した」とにっこり。「忙しくても、気持ちにゆとりがあれば、また次に何かやろうという気もわきますね」と明るい声で話した。

  保育園には震災当時からたくさんの支援物資が届いたが「広場」の企画を聞き、新たに物資を提供した支援者もいた。芳賀カンナ副園長は「地域の皆さんの笑顔が見られただけで、まずは大成功」と
協力に感謝した。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします