盛岡タイムス Web News 2011年 6月 3日 (金)

       

■ 菅首相退陣の意向を示唆 内閣不信任案は否決

  菅直人首相は2日、大震災と福島原発事故に一定のめどが付いた段階で辞任する意向を党代議士会で表明した。これを受けて民主党の大量造反、分裂の事態は回避され、自民、公明、たちあがれ日本が衆院に提出した内閣不信任決議案は、同日の本会議で与党の反対多数で否決された。しかし、党内から2議員が反対票を投じ、小沢一郎元代表が採決を欠席するなど一致結束する状況にはない。県内政党からも「権力闘争」という批判の声が上がる。

  自民党の千葉伝県連幹事長は「大震災の対応や原発の対策において場当たり的な政策の菅首相の指導力不足と責任感の欠如に対し、国民の不満不信が高まってきており、このままでは日本の将来を危うくするものといわざるを得ないことから、出すタイミングは考える余地はあったものの不信任案の提出は常道であった」と肯定する。

  公明党の小野寺好県本部代表は「菅政権の東日本大震災への対応はあまりにも緩慢すぎる」と批判。加えて政権発足以来の運営から「不信任案の提出は当然の事態であった」とし「何とか変えようという活力が前に行かなかった」と残念がった。

  一方、小沢氏が代表を務める民主党県連は佐々木順一幹事長が「未曽有の大災害という非常時下では政権は広く人智を集め最強の体制で強いリーダーの下に国難に対処しなければならないという、いわば一政党の利害得失を超えた救国の覚悟を伴った行動であったと受け止める」と、国会の一連の動きを認めた。

  共産党は採決を棄権した。県委員会の菅原則勝委員長は「この結果で、国民から菅政権が信任されたととらえるべきではない。震災対策でも、原発事故対応でも、菅政権に厳しい非難が注がれており、肝に銘じるべき。自民、公明の不信任案の提出は極めて党略的で無責任だった」と批判。

  与党にも「内部でも呼応する動きが生まれたが、これも党略があり、県民はこんなときに何をやっているのかと厳しい批判を寄せた。双方に大義ない被災者不在の党略が起きたと言える」と断じた。

  一連の国会の動きに対し、被災県の立場から嫌悪感も。

  社民党は採決を棄権したが、伊沢昌弘幹事長は「菅内閣が進めてきた災害対策には多くの問題があったが、与野党が協力して被災者救済を最優先にすべきときに野党が不信任案を提出するなど、国民不在の権力闘争を繰り広げてきたことに怒りを覚える」と非難。

  地域政党いわての飯沢匡代表も国政の状況に「被災地の我慢も限界に達しつつある状況下。復旧・復興を置き去りにした権力闘争とも見える今次の行動が、このタイミングで国会において起こっていることに大きな疑問と不信を抱かざるを得ない」と、不信任案の提出と民主党内部の対立の双方ともに問題視する。

  ■菅首相の退陣示唆表明

  千葉幹事長は「早期退陣を決断させたものの、今後、被災地を抱える岩手にとって復旧・復興が進まないことが憂慮される。できるだけ早い内閣総辞職により、新たな体制の下で復旧・復興に全力を傾注すべき」と早期退陣を訴える。

  小野寺代表は「復興のために決断と実行力のある内閣の誕生を期待したい。不信任案が出されたことを重く受け止め、辞めるなら潔く辞めるべき」と早期退陣を求める。飯沢代表は「なかなか前に進まないのは事実だが、政治空白をつくることよりも優先される」と受け止めている。

  ■国政の今後

  国政の今後について国会の目下の使命は一日も早い被災地の復興対策という点では各党が共通する。

  佐々木幹事長は「これまでの党運営や政権運営は変則的であったことは、まぎれもない事実で、党内民主主義も脆弱であった」と党の問題を指摘。「執行部は国民の生活が第一という政権交代の原点に立ち戻り、代議士会の確認事項を速やかに実行に移し、党員の声にもしっかり耳を傾け、震災対応や国政全般に挙党一致で取り組み与党としての責任を果たさなければならない」と、路線の回帰と挙党態勢の必要性を唱えている。

  菅原委員長は「被災者救援、生活基盤の回復、原発からの撤退目指して全力を挙げていきたい」とし、伊沢幹事長は「被災者生活優先の災害復興と原発事故対策を速やかに進めることを求めていく」姿勢を示す。

  飯沢代表は「与野党協力して一日も早く対策を進めることが大事。国会において政治空白をつくり、これ以上震災対策を遅らせることは断じて許されない」と注文する。

  達増知事は同日、東京出張。コメントを出さなかった。

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