盛岡タイムス Web News 2011年 6月 3日 (金)

       

■ 〈不屈の意志〉シリウス・佐藤幸夫社長に聞く 半減の受注、5月盛り返す

     
  佐藤幸夫シリウス社長  
 
佐藤幸夫シリウス社長
 
  盛岡市東安庭の住宅会社シリウス(佐藤幸夫社長)は、今回の震災で沿岸部の低地に手がけた住宅12棟が流された。震災後の3月は受注が半減。一戸建て住宅着工件数で5年連続県内1位を記録した同社も苦境に立たされた。しかし、5月には息を吹き返し、被災した施主らを訪ねながら新たな対応を模索しているという。佐藤社長に震災時と今の状況を聞いた。

  -被災発生時はどのようだったか。

  佐藤 市内を車で走っていた。ひどく揺れたので車を止めた。少し収まってから急いで会社に戻った。停電状態だった。社員が不安がっており、その日は全員を自宅に帰した。翌日は全員が出社した。そして建設中の建物や既存の建物がどういう状態か、施主は大丈夫か安否確認を開始した。電話も携帯も通じない。直接現場や施主の所に出向いた。ガソリンが入らず大変苦労した。市内は自転車なども利用した。

  幸い、建築中の建物はほとんど被害がなかった。一関市内の地盤の弱い地区で建物に一部被害はあったが。あれほどの地震でほとんど壊れていなかった。阪神大震災級の地震でも大丈夫な家と強調しているがまさに本当だということを証明した。ただ陸前高田、大船渡、気仙沼などの沿岸部の低地に5、6年前に建てた12棟は津波で流されてしまった。高台の家は大丈夫だった。現場には何度も行ったが、流された家の跡には、基礎工事のコンクリートがあっただけ。それ以外は何もない。津波の威力、恐ろしさを知らされた。

  -その後の状況は。

  佐藤 停電とガソリン不足のほか建設資材が入らなくなり困った。修繕の仕事も入ったが、材料不足のためになかなか対応できない。資材工場も流され、木材が入らない。それらは今、回復しているが、風呂の部材や外壁用建材、断熱材などはいまだに遅れている。サプライチェーン(供給網)が止まったのだから仕方ないが。

  自動車と同じで1点でも部品が入らないと完成しない。そのため工期に遅れも出ている。売り上げは3月、4月は半減した。余震も続いており、地震を不安がって顧客が契約を見送ったためだ。これも仕方ない。

  5月に入って契約件数が戻ってきた。前年をクリアして2ケタになった。3、4月の間に様子見をしたり、時期を待っていた人が一気に動き出した。口コミでの紹介が多い。当社を信頼してのことでありがたい。

  震災後、耐震構造のほか、停電しても大丈夫なようにと太陽光パネルに注目する施主が増えた。パネルを取り付けると200万円ほど余計にかかるが確実に増えている。8年で元が取れるのでそう高くもないはず。政府もエネルギー政策の一環として後押ししており、今後さらに増えるだろう。

  -被災地の支援などは。

  佐藤 3月下旬に被災地支援として県に義援金として200万円届けた。社員の合意のもとに行った。被災した施主に会いに行った。みな無事だったが、避難所生活を送っている。避難所を探し出して見舞い金などを持参した。大変な生活をしていた。何とか、早く普通の生活に戻るよう祈った。もう一度、家を建てたいと考えている人もいたが、二重ローンを抱えたくないと考える人が大方でなかなか難しい。当社でできることは限られているが被災地向けの住宅を提供したい。

  耐震性に優れているが低価格で提供できる住宅を。被災地では高齢者の被災が多い。高齢者にはそれほど大きな家は要らない。耐震性と機能性に優れた住宅を700万円や900万円で建てたい。地盤がしっかりした場所に。今図面を引いて検討している。沿岸部のニーズを的確に把握するため沿岸部に事務所を開設したい。

  -地域経済の活性化については。

  佐藤 内陸部は沿岸部の食材などを使用した沿岸B級グルメのようなイベントをしてはどうか。ボランティアと県内観光、B級グルメイベントへの参加などを盛り込んだボランティアツアーなどを企画し発信する。大変な状況だからぜひ岩手に来てもらうような仕掛けをすべき。これから雇用が大きな問題となる。現実的には内陸部の会社が何人雇用するか、できるかに関わる。当社は昨年度、新卒6人を採用した。被災した宮古出身者が一人いた。1カ月遅れの入社となったが頑張っている。今年度は12人ほど採用する。既に大船渡出身者を内定した。住宅建設の部品は約1万点。この仕事の発展を通じて雇用を増やし地域経済を活性化することに貢献したい。
(大森不二夫)

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